発言そのものだけでなく、
辞任に至る経緯から
後任選びまで、
すべてに渡って問題が浮き彫りになっている森氏の辞任。ようやく幕引きとなるかと思えば、「
ニューヨーク・タイムズ」の記事を見るかぎりでは、むしろ膿を出しきるための「総括」は始まったばかりと言えるだろう。
“彼(森氏)の辞任は、
性差別発言に対する国際的な批判が絶えないことに続いて起きた。これによって、パンデミックが猛威を振るうなか、延期されていた大会を開催しようとする
日本の努力に、新たな試練がもたらされた”
“しかし、森氏は
発言が誤解されたと、批判に対しては同意しなかった。「女性差別だと言われたが、そういう意味で言ったわけではない」と彼は話した。「私は女性を称えて、もっと発言するように促してきました」”
“彼(森氏)は自分が
年齢のせいで不当に批判されているとの考えをつけ加えた。「老人も日本と世界のために頑張っている」と。「老人が悪いかのような表現をされることも極めて不愉快な話であります。しかし、そんな愚痴を言ってもしょうがないことでございます」”
これだけのトラブルを引き起こしておきながら、なお「
受け取り側の誤解」であり、老人叩きの「
被害者」であることを強調する森氏には、海外メディアも驚いた様子だ。
また、「
ロイター」は「
東京五輪・森氏の辞任によって貫かれた日本政治の『村社会』」と、森氏の発言と辞任はいち個人の失言ではなく、
より大きな問題の氷山の一角であると指摘している。
“選手、スポンサー、ボランティア、外交官、メディア、そして一般の日本人からの批判の声は、ある新聞が「
村社会」と評した、謝罪で論争が収まることを期待していた
菅義偉首相をはじめとする森氏の盟友たちに突き刺さった”
“「彼ら(与党政治家)は、
ジェンダーの問題やその意義を本当に理解しているとは思えません。男女共同参画は非常に重要なことなのに、軽々しく受け止めて、内政的なことばかり考えている」と日本女子大学教授の
大沢真知子氏は言う。海外のメディアではこの問題が大きく取り上げられ、海外の外交官はソーシャルメディアに男女共同参画を支持する投稿をしていた”