我慢を重ねるコロナ禍だからこそささやかな贅沢を<入江敦彦の『足止め喰らい日記』 嫌々乍らReturns>

1日50万人単位で接種者を回すイギリス

 そのほかにも「密でなくとも長時間人といると感染リスクは上がる」――野外でもマスクをしていない人の横に立つのは避けたほうがいい。勝手な理屈で着用を怠る人は一事が万事でルールを守らない人が多いものです。しかし強制は不可能ですから逃げるに如かず――とか、「思っているほど人間は注意深くない」――若者は感染リスクが少ないので仲間内で気軽にソーシャライジングをしがちですが、目の前の人が感染リスクの高い人々とどれだけ接触しているか、三密に身をさらしているかを「知らない」ことを忘れがち――など、改めて言われてみれば、あーあーあーという項目がいくつもありました。  あと、こんなのも。 ◆コロナ感染の可能性は、誰かがニンニクを食べたり喫煙者だった場合に臭いを感じるときのシチュエーションを想像すればよい。  換気が不十分な暖かい部屋ではかなり遠くの匂いを察知したりするのと同じ。2mというのは目安でしかありません。同じオフィスや教室で感染者が一度咳をしたら、ウィルスがあなたのもとに届く可能性が充分にある。また「換気」とは窓を開けることではなく空気を通過させること。風を通すことです。  やがてワクチンは最終的にわたしたちの世界を正常に戻してくれるでしょう。ジョンソン首相も「もしかしたら4月には」と楽天的な言葉を漏らしました。どーだかねーと眉に唾を塗っていたら、節分、追儺(おにやらい)の夜にわたしの66歳、基礎疾患あり、ややメタボのツレにワクチン接種の日程が決まりましたよーという電話が! 2月7日の日曜日だって。すごい急。当初に言われていたより2ヶ月も早い!  1月31日には60万人が接種を受ける大車輪で、以来ずっと50万人前後で推移してますから予定よりは早いだろうなとは想像してましたが、やれやれという感じです。 <文・写真/入江敦彦> ◆ここまでの『足止め喰らい日記』
入江敦彦(いりえあつひこ)●1961年京都市上京区の西陣に生まれる。多摩美術大学染織デザイン科卒業。ロンドン在住。エッセイスト。『イケズの構造』『怖いこわい京都』(ともに新潮文庫)、『英国のOFF』(新潮社)、『テ・鉄輪』(光文社文庫)、「京都人だけが」シリーズ、など京都、英国に関する著作が多数ある。近年は『ベストセラーなんかこわくない』『読む京都』(ともに本の雑誌社)など書評集も執筆。その他に『京都喰らい』(140B)、『京都でお買いもん』(新潮社)など。2020年9月『英国ロックダウン100日日記』(本の雑誌社)を上梓。
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