約3割が「年収が減った・減ると思う」と経済面を心配
「新型コロナウイルス感染症拡大の影響であなたの家庭の世帯年収に変化はありましたか?」を聞くと、「変わらない」が61.8%最も多かった。だが、「年収が減った・減ると思う」と答えた人が27.1%、「大きく減った・減ると思う」と答えた人も5.8%おり、経済的な不安がつきまとう。
また、2020年6月から回答時点までの回答者本人と配偶者・パートナーの働き方について聞いた。
配偶者・パートナーの働き方は「在宅が多い(在宅のみ含む)」と答えた女性は7.1%、「出勤が多い(出勤のみ含む)」が84.0%で、在宅中心は1割以下にとどまる。配偶者が在宅中心の働き方をする女性は、世帯年収800万円を超える層ほど多い。
本人(女性)の働き方では「産休または育休を取得した」(40.6%)、「働いていない」(42.6%)が上位を占める。雇用形態は非正規で、職場に出勤する働き方をする女性が48.3%で最も多い。
世帯年収は夫婦間のコミュニケーションや仕事の育児の両立のしやすさに関係している。
「配偶者・パートナーとのコミュニケーションが増えた」との回答を世帯年収別で見ると、「400万円未満」では44%だが、「1000万円以上」では67.7%だった。
また「在宅勤務などが増え育児と両立しやすい環境になっていると感じる」については、「世帯年収400万円未満」(22.3%)に対し、「1000万円以上」(41.5%)とその差は約2倍だ。コロナ禍における子育て環境について経済格差が生じていると言える。
一方で新型コロナウイルスをきっかけに、家族や夫婦との関係を見直す前向きな動きもあった。
「家族の時間を大事にしたいと思うようになった」は 84.4%に上っているほか、「両親(義父母)にもっと孫の顔をみせたいと思うようになった」の回答率も70.5%だった。
先行きが不透明な時期だからこそ、身近な存在である家族に安心感を抱くようになったのだろう。
家族との時間を大事にしたいと答えた女性は「20代」のみ4割を超えており、若い世代ほど家族を大切にしようという気持ちが高い。
前述の「配偶者・パートナーとのコミュニケーションが増えた」は全体では50.2%。特に「2020年5月〜10月」に出産した女性ほど「はい」と答えた割合が高い。
「配偶者が子育てや家事にかかわる時間が増えた」は51.4%。一方で「配偶者にもっと家事や育児に積極的になって欲しいと思うようになった」(58.2%)も約6割と、コロナ禍においては以前よりも家事と育児を夫婦間で分担したいと考えているようだ。
調査を行ったベネッセが発刊する「たまごくらぶ」編集長の中西和代氏は調査結果について、
「本来であれば、恵まれた世帯だけでなく、だれもが当たり前に安心して出産育児にのぞめるよう、まずは基本の「夫婦の育児」、それを国の支援策、企業、社会が支援する「チーム育児」で、コロナ影響が続くなかでもママたちを支えていくべきだと思います」
とコメントしている。
<文/薗部雄一>
1歳の男の子を持つパパライター。妻の産後うつをきっかけに働き方を見直し、子育てや働き方をテーマにした記事を多数書いている。