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※写真と本文は関係ありません。 photo by 栄華
パチンコ機の大型化が止まらない。
先日パチンコ遊技機メーカーである
藤商事が発表した「
P緋弾のアリア~緋弾覚醒編~」や2月上旬に全国のホールに導入される
平和の「
P JAWS3 SHARK PANIC-深淵-」は、既存のパチンコ機のフォルムの常識を大きく覆す形になっているのだ。
そして今、このパチンコ機の大型化が、業界内に様々な物議を醸しだしている。
パチンコ機の縦幅と横幅は決まっている。島と呼ばれる遊技機の設置台の大きさは昔からどこのホールも同じだからだ。大型化と言っても、だからパチンコ機そのものの大きさが変わった訳では無い。要は島からせり出している「
前飾り」と言われる台枠部分が近年大きく変化したのだ。
その端緒と言われているのが、
サンセイR&D社の「
牙狼~GARO~」である。チャンス時や大当たり時には「フェイスオブガロ」と呼ばれる、等身大とも思しきキャラクターの顔が遊技台からせり出してくる。当時はその斬新な台枠演出に業界関係者は驚嘆し、ホールに導入後もファンたちの度肝を抜いた。
そこからパチンコ機の台枠の大型化が始まる。
京楽産業の「
AKBシリーズ」や「
必殺仕事人シリーズ」の台枠は業界関係者から「
仏壇」と呼ばれるほど四角四方にあらゆる飾りが備え付けられ、またそれが遊技機の演出上の大きな役割を果たした。
パチンコ機の大型化は、ほとんどの遊技機メーカーが拠る戦略となった。あそこのメーカーがあれくらい大きな台を作ったのだから、我々はより大きな台を。メーカー間による競争意識が高まり、遂には冒頭に紹介したような遊技機まで出されるに至る。
メーカーの視点で言えば、遊技機の大きさは遊技客の「アイキャッチ」としての役割を十分に果たしている。パチンコ店に入った人ならば分かるのだろうが、通路から約40台前後のパチンコ台が設置されている島を見ると、どこに何の遊技機が設置されているのかがよく分からない。そのような場所で、ひと際目を引く大型パチンコ機があれば一目で「あれだ」と分かる。それがパチンコ機の稼働に繋がる。
また大型パチンコ機は液晶画面以外の様々な個所の演出が施されており、遊技客を飽きさせない工夫も凝らされている。往年のパチンコファンであれば、パチンコは玉の動きを楽しむものだの、演出はシンプルなほうがより楽しめるだの、郷愁を滲ますかのような思いを吐露するのだが、ライトユーザーや新規ユーザーは、バラエティに富んだパチンコ遊技機を選択する可能性が高い。
この20年間右肩下がりのファン減少に歯止めをかけるために、少しでもパチンコ機に興味を持ってもらうために、メーカー側は様々なアイデアを捻りだし、昔からはとうてい考えも及ばなかったようなパチンコ機を作っているのだ。
しかし、実際にそのパチンコ機を設置し、ファンを呼ぶ側のホールは、パチンコ機の大型化を必ずしも歓迎していない-。