Googleだけが検索エンジンじゃない! 第6の存在、DuckDuckGo、1日1億件の検索クエリを超える

独占を許さない、代替案のある世界

 ITの世界は、現実の世界以上に、少数の勝者が圧倒的なシェアを得ることが多い。古くは、OSの Windows がそうだった。またWebブラウザのシェアを Internet Explorer が占めていた時期もある。現在は、Google Chrome が7割近いシェアを持っている。  Web検索とWeb広告のシェアは Google が占めている。また、モバイルOSは、Android と iOS の2つしか事実上生き残っていない。  ある分野を1社が独占、あるいは少数の企業が寡占したとき、その影響力が悪い方に行使されることはよく知られている。そのため独占禁止法などが存在している。こうした独占や寡占を避けるために、第2、第3の選択肢はあった方がよい。  Web検索エンジンを作り、全世界のデータを網羅するのは、非常にお金が掛かる。DuckDuckGo は、他の検索エンジンを利用したり、自社のクローラーを使ったりして、Web検索を提供している。そうした体制のために、完全に大手から独立したWeb検索エンジンというわけではない。  全世界ではなくてもよいので地域毎にでも、巨大企業から独立したWeb検索エンジンがあった方が健全だと思う。収益化の問題があるが、独占を許さない代替案のある世界が望ましいことは、言うまでもないだろう。 <文/柳井政和>
やない まさかず。クロノス・クラウン合同会社の代表社員。ゲームやアプリの開発、プログラミング系技術書や記事、マンガの執筆をおこなう。2001年オンラインソフト大賞に入賞した『めもりーくりーなー』は、累計500万ダウンロード以上。2016年、第23回松本清張賞応募作『バックドア』が最終候補となり、改題した『裏切りのプログラム ハッカー探偵 鹿敷堂桂馬』にて文藝春秋から小説家デビュー。近著は新潮社『レトロゲームファクトリー』。2019年12月に Nintendo Switch で、個人で開発した『Little Bit War(リトルビットウォー)』を出した。2021年2月には、SBクリエイティブから『JavaScript[完全]入門』、4月にはエムディエヌコーポレーションから『プロフェッショナルWebプログラミング JavaScript』が出版された。
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