世界で唯一、「検査をすると患者が増える」という、医学的にも科学的にも完全に誤ったジャパンオリジナル・エセ科学・エセ医療デマゴギーを国是とする本邦を除き全世界でPCR検査は、一部抗原検査での事前スクリーニングを含んでCOVID-19対策の基本となっています*。
〈*本邦の採用する抗原検査キットは、ありえないほどに極めて精度の低いとんでもない欠陥品であるため論外であるが、合衆国アボット社の抗原検査キットなどでも精度が高いものの検査陽性者には偽陽性が含まれ、PCR検査による確定判定を必須とする。また、検疫の短縮に要する陰性判定に用いられるのは複数回のPCR検査である**。〉
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外国人留学生、韓国入国の前後に「新型コロナ検査」を3回受けることに 2021/01/28 hankyoreh japan/この手順は、CDC(合衆国疾病予防管理センター)がサンクスギビングを教訓に苦肉の策としてホリデイシーズン中の合衆国市民の国内旅行に推奨したものとほぼ同じであり、世界の標準化しつつある。「陰性証明書は詐欺」などと8ヶ月遅れのエセ科学・エセ医療デマゴギーが罷り通るのは本邦のみである〉
1000人あたりの検査数を日本、韓国、台湾で比較するとそれぞれの国の対応がよく分かります。
本邦は、もはや国是と言うべき世界唯一と言える検査抑制という防疫政策で行政PCR検査態勢を増強せずに来ましたが、感染者数は増える一方で医師会検査と自由検査も増える一方です。複数の医療従事者によると医師会検査にも厚労省の意思で強い抑制がかかっており、COVID-19のPCR検査だけ医師の操作する端末から依頼出来ない事例など「医師の判断で必要な検査をする」ということが非常に困難な状況ですが、結果として市民は自由検査(民間検査)を選択する様になりました。これは
医療の機会均等という保健医療の根幹を厚生労働省が自ら破壊していることとなります。
結果として増える一方の保健所に集まる陽性検査結果ですら保健所と厚生労働省が処理することができなくなり、1月に入りエピデミックがとくに拡大進行している東京都や神奈川県などでは積極的疫学調査=クラスタ戦略すら放棄してしまいました*。これは、昨年11月の厚労省新型コロナウィルス感染症対策推進本部通達**に則ったものです。要するに
厚労省は、防疫態勢の破綻を予想しながら手を抜くこと以外何も用意してこなかったのです。
〈*
「感染蔓延で経路調査に意味なし」 神奈川県、感染経路や濃厚接触者の調査を原則やめると発表 全国初<新型コロナ>2021/01/08 東京新聞〉
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積極的疫学調査における優先度について2020/11/20 厚労省新型コロナウィルス感染症対策推進本部〉
本邦では、11月上旬時点で、PCR検査数が7万〜8万件/日が限界とされてきましたが、まさにこの1月にPCR検査数が7万5千件/日に達したところで検査抑制が強化されています。
これについては、菅緊急事態宣言の効果をでっち上げるためのメイキング*だという説が根強くありますが、筆者は、単なる厚労省の能力が限界に来たのだと考えています。
〈*統計の操作、でっちあげをメイキングと呼ぶ。元々は帝国海軍用語で、本邦では古くから官庁、役場に蔓延している〉
厚労省には、不思議な習性があり疫病発生などの緊急事態においても財務省のご機嫌を伺って資源増強を行わないというヒラメ官庁*です。本来は、内閣=政治に持ちかけて必要な資源と資金を求めるものですが、人が大勢死んでも財務省の顔色優先です。生活保護の水際作戦という鬼畜の行動もその一環です。市民を殺せば殺すほど出世するのが厚生労働省と言えます。筆者が殺人奴隷省と呼称する理由です。この厚労省の習性は、医療業界も深く侵しており、財務主計官の様な発言をする専門性を放棄した頭のおかしな医者の大量発生となっています。
〈*上役の顔色ばかり伺う人間をヒラメという〉
このクラスタ戦略の事実上の放棄によって、統計は楽観的にでっち上げられるという主張がありますが、その程度ででっち上げられるほどCOVID-19エピデミックは甘くないというのが筆者の考えです。ほんの一時的に人為的に一部地域の数値を数割程度抑制出来るでしょうが、クラスタ戦略の崩壊によって市中感染者はますます増えますから、一月も経たないうちに抑制効果は無くなります。メイキングの意味がないのです。
厚生労働省ご自慢の「クラスタ戦略」*の事実上の放棄は、統計操作=メイキングでなく、無能の表れに過ぎません。
〈*既述の様に本邦のクラスタ戦略の実態は、「
空想としてのクラスタ戦略」に過ぎない。また、水際防衛も「底の抜けた桶」である〉
結局、本邦は世界的に見れば貧弱極まりないのですが、本邦の限界とされる7万検査/日以上の検査数になるまで戦力逐次投入を強いられながらエピデミックの制御に失敗しています。
韓国では、昨年2月からクラスタ戦略が成功してきています。昨年2月の大邱で起きた宗教団体でのアウトブレイクから韓国政府は戦力集中投入でCOVID-19エピデミックを制御することに成功してきています。
既述の様に韓国におけるエピデミックSurgeにはその発生に宗教団体が密接に関わっており、2月の大邱(新天地イエス教会)、5月のソウル(ソウル梨泰院クラブ)、8月のソウル(サラン第一教会)そして今回の大田、光州(IM宣教会)と、4回のうち3回が宗教施設で、1回がナイトクラブを中心とするアウトブレイクから発生しています。韓国は、そのたびに検査数を機動的に増加させており、収束すると検査と社会的距離を緩和するという事でクラスタ戦略を実のあるものとして成功させてきました。しかし、8/15光復節に生じたサラン第一教会の5万人ゲリラ集会は、その規模の桁違いの大きさから収束させ切れず、そのまま「秋の波」の火種になってしまったものと考えられます。秋夕*を無事に乗り切っていただけに残念です。
〈*韓国では9月末から10月の秋夕(チュソク)が日本のお盆にあたる大切な帰省・行楽シーズンである〉
今年1月に大田と光州で発生したアウトブレイクに対し、韓国政府は検査数の増加で応じており、社会的距離の緩和をいつにするかと合わせて、韓国のCOVID-19との闘いの今後を決します。
この様に韓国は決して米欧や中東、中国の様な大量検査をしているわけではありませんが、必要となったときには直ちに検査に資源投入することで結果的には少ない資源投入で防疫に成功してきています。そしてソウル首都圏でのクラスタ戦略の破綻が明らかとなった昨年12月には、ためらうことなく12/14からソウル首都圏域で大規模一般検査を開始し、検査数は最大2倍以上に急増し、感染者数の大幅な減少を達成しています。
結果として韓国は、米欧だけでなく世界の多くの国々から模範として賞賛されています。
台湾は、昨年1月、武漢で謎の流行性肺炎が発生している情報を得ると迅速に中台の交流を停止し、水際防衛に成功しました。更にクラスタ戦略に基づき、当初検査数を引き上げてクラスタの発見と殲滅に邁進しましたが、結果として昨年4月以降、253日間国内感染者発生ゼロが続いていました。しかし最近は1〜2名といった小規模の国内新規感染者の発生が見られています。結果、台湾でも検査数の増加が見られています。
台湾の場合は、初動に成功し、COVID-19の侵入を最小限に留めたことによる水際防衛の成功。実効性のあるクラスタ戦略により、最初の国内感染によるクラスタを全て潰すことに成功したことがその後の成功の鍵と言えます。
台湾でも大規模PCR検査は可能ですが、必要が無いから実施しないとのことで、たいへんに経済的な防疫に大成功しています。台湾が、世界から「理想的な大成功例」と羨望の的である由縁です。
日本と韓国、台湾における千人あたり日毎検査人数の推移(‰, 7日移動平均, 線形) 2020/01/28-2021/01/27 出典/OWID