「女優だった過去を消したい」と願う女性たちを脅かす違法サイト
審査を受けて正規ルートで売られている「適正AV」は、発売から5年たった作品については女優からの依頼があれば、削除できるルールになっている。
しかし、ポーンハブでは当然、こうしたルールは適応されない。
「FANZAでは終売した作品が違法サイトに残っているという問題が起きていました。そのため、女優だった過去を消したいと願う女性たちの生活を脅かす二次被害を生んでいました」(JPG)
業界サイドはひとまず安堵しているようだが、近年、海賊版AVに関しては年々、対策が進んでいた。
今年から改正著作権法が施行され、海賊版サイトに誘導する「リーチサイト」も違法に。多くの海賊版AVまとめサイトも閉鎖を余儀なくされている。
’19年の「漫画村」摘発後、AV業界でも著作権の保護が課題になっており、やっと漫画や映画に追いついたのだ。
一方で、競合サイトは残ったまま。告発した米国人記者は「同じように視聴者数が多い『XVIDEOS』にも圧力をかけるべき」と発言しており、今後、ほとんどの違法ポルノサイトは窮地に追いやられるだろう。
そして、こうした流れのなかで、AV業界は大きな地殻変動を迎えている。
実は今回の一斉削除の少し前に、ポーンハブは日本のメーカーに対し、秘密裏に交渉していたという。
「メーカーの公式チャンネルをつくろうとアプローチしていたという話を聞いています。ただし、違法アップロード動画が多数ある状況でメーカー側は応じず、交渉はまとまらなかったそうです。
健全化したならば、今後はメーカーの公式チャンネルができていくのでは」(AV制作会社スタッフ)
メーカーだけではなく、AV女優が自ら動画を上げ、収益を得るスタイルも浸透しつつある。海外では出演者自らが撮影し、自分のサイトで作品を販売するスタイルも一般的だ。
日本のAVシーンを飛び出て、現在米国で活躍するMARICAさんも、オフィシャルサイトを中心に、動画や写真などを販売している。この流れが日本にも押し寄せている。いわば、アダルト界でユーチューバー化が起きているのだ。
風俗店やライブチャットに女性を斡旋しているスカウトマンは言う。
「TikTokで生着替えなど、セクシー要素のある動画を流して、そこから有料のFANZAライブなんかに誘導するスキームなんですが、まだそんなには稼げていないのが現状ですね」
また、ガールズバーで働く女性(24歳)もこう語る。
「お客さんから『顔出しなしでも稼げるみたい』と言われて、お尻専門の短い動画の販売を始めました。
月2万円くらいの収入ですが、ツイッターでセクシーな自撮りを載せると『いいね』がいっぱいついて楽しいですよ」