台湾やニュージーランドなど、海外の成功している国々ではワクチンがなくても感染を拡大を制御することに成功しています。年末まで100万人あたりの感染者がほぼ同じで、なおかつ第3波で再び危機的状況になりそうだった韓国さえも、さまざまな手を打ち、第3波を封じ込めつつあります。
どうしてこんなことになっているのかというのは、けっこう簡単なことで、成功している国々では積極的に
PCR検査を実施し、早期に見つけ出して隔離することに成功。一方、日本は症状のある人がPCR検査を受けるだけで、無症状の人たちがPCR検査を受けることはなく、隔離に失敗しているからです。しかも、いよいよ通常のPCR検査では賄いきれなくなり、プール方式(複数の人をまとめて検査する方式)が採用されるようになってしまったため、ますます無症状の人たちを積極的に検査することが難しくなってしまいました。
これは日本特有の話なのですが、「PCR検査をしない方が良い」と言ってしまう医者がたびたび注目されるせいで、日本ではちっともPCR検査が進んでいないのです。これにより、日本は正確な感染者数すら把握できないまま、「ワクチン以外の手がない」という非常に厳しい状態に陥ってしまいました。ワクチン以外に手がないのであれば、ますます一刻も早いワクチン接種が必要になるのですが、先程も申し上げた通り、日本のワクチンは「年内に入ってきたらいいなぁ」という状況なのです。今のところ、解決策はありません。
ワクチンには副反応がつきものです。多くの人は何の問題もなく抗体を得ることができますが、かなり低い確率であっても、副反応で重篤な症状が出る場合があります。なので、ワクチンを接種する時には、その副反応のリスクを許容できるかどうかが問われ、「その確率ならば、私は打ちます」という同意が必要になります。ただし、この価値判断は人それぞれ。低い確率なら打つという人もいれば、低い確率であっても打ちたくないという人もいるはずです。
海外ではワクチンの副反応と思われる形でお亡くなりになった方もぼちぼち出始めたことが報じられています、これを見れば「打ちたくない」という人も決して非難できないはずです。
仮に、公衆衛生を考えれば全員がワクチン接種したほうが望ましくても、ワクチン戦略が成り立つためには、国や医療行政と国民の間に「信頼」が必要不可欠です。しかし、今の日本ではそうした信頼を構築する科学コミュニケーションよりも、一方的で高圧的な「ワクチン接種しない奴は非科学的である」とか「ワクチン接種しない奴は非国民だ」という論調で叩くような方向に行きがちで、すでにそうした声が膨れ上がっていきます。
河野太郎さんは防衛大臣時代に医療従事者へのエールだといってブルーインパルスを飛ばし、ネトウヨからの支持を集めるような人なので、この論調はますます熱を帯びていくことが予想されます。その上、日本ではPCR検査を抑制してきた人たちが積極的にワクチンをオススメしてしまう地獄なので、これではますますワクチンに対して疑問を持つ人が生まれてしまいます。ゆえに、日本のワクチン戦略はあんまりうまくいかないかもしれないのです。