“上場請負人”と呼ばれる男が教える、「伸びる企業」を見抜く眼の育て方
アパートの一室で起業した会社が、数年後に時価総額・数百億円に――そんなことが当たり前の時代だからこそ、スタートアップ企業への投資熱が高まっている。10万円から夢が見られる「エンジェル投資」の醍醐味とは? 現役投資家にその極意を聞いた。
投資をしながら役員に就任し、事業責任も負う。
そんな投資スタイルを基本とする守屋実氏は、会社員や共同創業者として複数の事業の立ち上げや売却を経験した後、満を持してʼ10年に個人事務所を設立。それ以降、新規事業創出の専門家として活動している。
「創業初期の起業家へ投資をするシード投資家として、1社あたり500万円から1000万円の間で投資をしています。ここ10年で30社以上に投資し、ラクスルやブティックスなど上場に至った企業は5社。M&Aが1社で、残りの企業も順調に成長ステージを刻んでいます。そういう意味では、今のところ失敗はありません」
投資した企業が上場を果たしたことで、なかには資産価値が200倍に跳ね上がっている保有株もあるという。
だが、人生の大先輩であるミスミ創業者・田口弘氏の「カネは持つな」という教えを守り、現金化は避けている。
「私が投資するスタンスは、“創業仲間”“自分の会社”という意識。ですから、株を売るつもりはありません」
ひとつでも多くの有望なスタートアップ企業が陽の目を見るようにサポートしたい。その投資資金を工面するために、今も東奔西走している。
複数のベンチャーキャピタルのアドバイザーを務める守屋氏のもとには、スタートアップ企業の投資案件が毎月数社分届けられる。だが、すべての企業に投資することはまずないという。
「百戦錬磨のプロの目のスクリーニングがかかっていたとしても、紹介を受けたスタートアップ企業が成功する保証はない。
まして、投資初心者が企業を発掘し、さらにデューディリジェンス(企業調査)するのはかなりハードルが高い。そこで先決すべきは、『投資家としての基礎力の強化』です」
「昔はお金を溶かしながら投資家としてのスキルを肌身で学んだものですが、今は少額から始められる『株式型クラウドファンディング』というツールがある」と守屋氏。
その際は、下記のような点に注意すべきだという。
「まずは土地勘のあるビジネスモデルと成長力のある市場(業界)に注目し、掛け合わせることで投資先の企業を選定します。私なら(シェアリングエコノミーやDX)×(医療・介護・ヘルスケア)といった形。
そして、投資先が決まったら、企業の成長を全力でサポート。経営者ともコミュニケーションを取り、結果にコミットします」
“上場請負人”と呼ばれる失敗しない男の投資哲学
土地勘のあるビジネスモデルと成長力のある市場に注目し、掛け合わせる
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