同じことはビジネスのなかでもよく見られる。「
上司がなぜその方針に従えと言っているのかわからない」「
先輩の話が腑に落ちない」「
部下の行動が理解できない」「
後輩の優先順位のつけ方が違うのではないか」……。上司も部下も、先輩も後輩も、お互いに行動が噛み合わないことがある。
そうした場合は、たいてい相手の優先順位基準と自分の優先順位基準とが異なっている。異なる優先順位基準をすり合わせることができればいいし、すり合わせができなかったとしても、「上司は、部下の自分とは異なる別の基準で行動している」「後輩は、上司の自分とは異なる考え方を持っている」ということがわかれば、対処のしようがある。
優先順位基準が
法律や
コンプライアンスや
安全衛生といった基本的なルールに逸脱していれば、
基準を是正すればよい。
そうでなければ、どちらかに
歩み寄ってすり合わせるか、お互いに
異なる基準で取り組んでいることを許容すればよい。
たいていは経験や能力が高い、上司や先輩側が広い許容範囲を持っているので、その範囲のなかで
部下や後輩に伸び伸びと取り組めるように環境整備してあげるとうまくいく。琴貫鐵の引退を他山の石として、ビジネスに役立てたいものだ。
質問:自分なりの優先順位で実施しても上司が満足しないのはどうしてか
自分なりの優先順位をつけて業務を実施して完了させたとしても、
上司や依頼した人が満足しないことがままあります。いったい何がいけなかったのでしょうか?
回答:業務の優先順位の基準が違っている
上司と部下、依頼した人と依頼された人で、業務の優先順位の基準が違っていると、せっかく
自分なりに工夫して優先順位をつけて実施しても、上司や依頼した人から見れば、もっと早くやってもらいたかったと思われたり、もっとじっくりと実施してほしかったという反応をされたりしてしまいます。
自分なりに工夫して優先順位をつけたとしても、それが上司の考える優先順位と異なっていれば上司は満足せず、結局、ひとりよがりな優先順位になり、
せっかく努力して仕事をしたとしても報われません。
業務の優先順位の基準のすり合わせが重要です。
【山口博[連載コラム・分解スキル・反復演習が人生を変える]第225回】
<取材・文/山口博>