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こんにちは。微表情研究家の清水建二です。コロナ禍においてマスクを着けてのコミュニケーションが一般的となりました。
「マスクを着けていると表情が読めないので、相手がどう思っているかわからない」あるいは「マスクを着けているから、相手に気持ちが伝わらない」という声が多々寄せられます。前者の問題については、本連載の「
マスクの上からどうすれば相手の表情を読めるのか? 微表情専門家が教える注目のポイントとは?」や「
マスク姿だからこそ本心がわかる。表情分析実験が教える『顔の上半分』の正直さ」をご覧ください。
本日は、後者の問題について考えたいと思います。
様々な立場の方々が様々な場面で、「マスクを着けていると気持ちが伝わらないのでは?」という悩みを持たれているのを耳にします。とりわけ、お子さんを持つ親御さん、姪や甥と接する親戚、お孫さんがいる祖母祖父、幼児や児童に接する保育士さんや学校・塾の先生は、特に心配されているようです。
表情をフィードバックしてもらえない子どもは、感情を消失する?!
子どもは周りの大人と感情のやり取りをしていないと感情表出の豊かさを失ってしまう、という懸念を感じられているようです。心理学、ジェンダー及び女性のセクシャリティー研究の専門家であるラフランス(2013)は、子どもの表情反応にフィードバックしたり、感情がどのように見えるかを鏡のように示してくれる大人がいない、あるいは接する機会が少ないと、子どもはほとんど感情を示さなくなる、と自著に書いています。
マスクを着けたままでは、子どもは、「こちらの表情を読みとることが出来ず、感情のやり取りが出来ないのではないか」、1年以上も長期に渡ってマスク越しにコミュニケーションをしていると、そんな不安が去来することでしょう。
しかし、朗報です。子どもは、マスク越しでも表情を正しく読みとることが出来るのです。Rubaら(2020)の最新の研究知見をお届けします。