コロナ禍で引き裂かれる国際カップル。入国規制は妥当なのか?

直接会えないまま涙の破局

 一刻も早くまた会えることを信じながら待ち続けるカップルもいれば、コロナ禍で破局という選択をせざるを得なかったカップルもいる。  韓国・ソウルに住む30代のチェ・ソンヒョンさん(仮名)は、流暢な日本語でインタビューに答えてくれた。  チェさんは、大阪旅行中に出会った日本人男性と、2018年から交際を始めた。遠距離恋愛ではあったが、月に一度は互いの国を行き来し、結婚も視野に入れながら順調に愛を育んできた。  だが、2020年1月に会ったのを最後に、一年以上直接会えない状況が続き、破局という道を選んだ。 「次にいつ会えるか分からないストレスから、今まではしたことのなかったケンカが絶えないようになりました。いつからかお互いを疑うようになってしまったり……。2020年11月に、お互い鬱のような状態で、こんなにつらいならもう別れよう、ということになりました。  お互いの誕生日や記念日を一緒に祝うことができなかったことですね。テレビ電話で彼は『ごめんね』と何度も謝ってくれました。『会いたいね。いつ会えるのかな』と言いながら二人で泣いたことも数え切れません。道行く恋人たちを羨ましく思う自分が惨めに思えたり……。別れるにしても、せめてあと一回くらい彼に直接会いたかったですね」  そんなチェさんは、政府に対して、入国規制の緩和を求めている。 「日本政府はGOTOトラベルで国内旅行を推進していた時期もあったでしょう。それなのに、結婚を前提に真剣に交際している国際カップルが、未婚というだけで、依然として入国できないなんておかしいと思います。  韓国政府も、世界中の未婚の国際カップルの声に耳を傾けてほしいです。私達は観光地には行きません。愛する人の腕の中に行ければ、それ以上は何も望んでいないんです」

結婚していなくても入国できる国も

 様々な制限はあるものの、デンマークが昨年6月に許可したのを皮切りに、ノルウェーやオランダ、オーストリア、アイスランドでは、検査で陰性であれば、国籍に関係なく、交際中の外国人の入国を許可している。  諸外国との対応の差も浮き彫りになっている中で、日本政府は今後どのような対応をとっていくのだろうか。  何千組もの国際カップルが、恋人が入国できる日を待ち望んでいる。彼らの声に耳を傾け、日本政府も柔軟な対応をとっていくべきではないだろうか。  ただでさえ、言語や文化、宗教の違いなど障害の多い国際カップル。このコロナ禍が、未来あるカップルをこれ以上引き裂かないことを切に願う。 <取材・文/平良旺子>
ライター。立教大学文学部卒。韓国語、韓国文化に精通。
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