通常国会開会。改めて見ておきたい、虚偽答弁訂正の場で嘘を重ねた安倍前総理

誰が負担すべき費用を立て替えた?

 次に田村議員は、契約主体と同様に説明が二転三転してきた費用補填について質問する。前日24日の記者会見では、「自分の預金から補填した」という完全な利益供与にあたる説明内容だったが、途中から「立て替えた」という表現に変わったため、誰が負担すべき費用が立て替えられたのかという疑問についての質問だった。その質疑は以下の通り。 田村智子議員(3問目): 「費用補填についてもお聞きします。あなたの私費から出したと最初は言い、それを立て替えたと言い換えを行っています。誰が負担すべきものを立て替えたということですか?」 安倍晋三 前総理:それは、あのー、安倍晋三後援会に記載するべきものであったということでございまして、まあ、ですから今回は、えー、そのように修正をさせて、修正するようにという指導を頂き、そのように修正をさせて頂いたわけで、えー、ございます。赤信号)」 田村智子議員(4問目): 「報告書のことを聞いてるんじゃないんです。お金を、誰が負担すべきものをあなたが立て替えたのかと聞いてるんです。」 安倍晋三 前総理:あのー、おー、誰がということでございますが、いわば、あのー、食費、ま、飲食費等につきましては5000円の、おー、ま、会費を徴収をしているわけで、えー、ございます。赤信号)  えー、そして、えー、いわば、本来、その、えー、不足分を、おー、ま、会場費等でございますが、を立て替えるのをですね、私から、あー、えー、共有資金の中からこれを立て替えているのでございますが、えー、これ本来であれば安倍晋三後援会からですね、支出するものであったと、いわば安倍晋三後援会から支出するものであったからこそですね、えー、政治資金収支報告書上そのように修正をして提示をさせて頂いているということではないかと思います。赤信号)」 田村智子議員: 「今もね、会場費云々言いましたけれどもね、公職選挙法199条の2、寄附の禁止の中でね、会場費のことについては、政治上の主義または政策を普及するために行う講習会、その他の政治教育のための集会に関し、やむを得ない実費。これは寄附の禁止のね、限定的な例外ですよ。宴会じゃないですか。収支報告書、宴会料で書いてあるじゃないですか。で、しかもね、収支報告書の中で本来、後援会が記載、あの、負担すべきだったから変えたって言ってるけど、実際にじゃあお金はですね、後援会の訂正された収支報告書を見てもですよ、確かに不足分の支払いの記述あります。しかしその不足分がどこから出てきたのかが全く分からない。」  田村議員の「誰が負担すべき費用を立て替えたのか?」という非常にシンプルな質問に対して、安倍氏はまたしても全く回答できていない。いずれも論点をすり替えており、赤信号とした。 3問目、4問目 2段落目 【質問】費用を立て替えた相手 ↓ すり替え 【回答】費用の報告書への修正 4問目 1段落目 【質問】費用を立て替えた相手 ↓ すり替え 【回答】費用の徴収金額  また、安倍氏は立て替えたのは会場費であるという主旨のコメントをしているが、田村議員も最後に指摘している通り、公職選挙法199条の2(寄付の禁止)に則ると、この発言は墓穴を掘ったと言える。少し長くなるが、条文では以下のように定められている。 <第百九十九条の二> 公職の候補者又は公職の候補者となろうとする者(公職にある者を含む。以下この条において「公職の候補者等」という。)は、当該選挙区(選挙区がないときは選挙の行われる区域。以下この条において同じ。)内にある者に対し、いかなる名義をもつてするを問わず、寄附をしてはならない。ただし、政党その他の政治団体若しくはその支部又は当該公職の候補者等の親族に対してする場合及び当該公職の候補者等が専ら政治上の主義又は施策を普及するために行う講習会その他の政治教育のための集会(参加者に対して饗応接待(通常用いられる程度の食事の提供を除く。)が行われるようなもの、当該選挙区外において行われるもの及び第百九十九条の五第四項各号の区分による当該選挙ごとに当該各号に定める期間内に行われるものを除く。以下この条において同じ。)に関し必要やむを得ない実費の補償(食事についての実費の補償を除く。以下この条において同じ。)としてする場合は、この限りでない。  条文は以上である。今回のケースに関係する部分をざっくりと要約すると、「公職の候補者は当該選挙区内の者に対して寄附をしてはならないが、講習会や集会などの必要やむを得ない実費の補償は除く。ただし、この例外に饗応接待は含まれない」となると思う。  そう。饗応接待(酒や食事を振る舞うこと。接待すること)は例外に含まれないと条文にはっきりと明記されている。地元選挙区の有権者に対して費用を補填する形で宴会でもてなした安倍氏の行為は、日本語が読めれば100%疑いの余地が無いレベルで公職選挙法違反である。

誰の「指導」で報告書記載を修正したのか? 浮かぶ新たな疑念

 さらに、3問目に対する回答に非常に気がかりな言い回しがあることも指摘しておく。 「安倍晋三後援会の政治資金報告書に記載すべきであると指導を頂いたので、そのように修正した」という主旨の内容を語っているが、いったい誰から指導されたのか?   2問目の回答で「今回の契約主体は後援会であると検察の認識と同じにした」と語っていたことを踏まえると、指導したのは検察(あるいはその関係者)と解釈するのが自然だろう。  公職選挙法違反の疑いが極めて強い安倍氏に対して、事態を収束させる方法を検察関係者が指南したとも受け取れる衝撃的な事実を安倍氏の回答は示唆している。
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一貫して嘘を繰り返してきた安倍晋三氏
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