「加工ソフトで陰性証明書を作ってほしい」…増加する隠れコロナ陽性者。差別を防ぐハラスメント対応が急務

「検査逃れ」や「陽性隠し」でコロナ感染者の事実を申告しない事例が増えている。政府は、入院の要請を拒否したコロナ感染者に1年以下の懲役や100万円以下の罰金を課すなど、“厳罰化”する法改正を検討しているというが、同じ状況に立たされたとき、あなたならどうするか? 今回、「隠れ陽性者」の実態を追った。

陽性の検査結果を隠すため証明書偽造を懇願する者も

隠れコロナ陽性者

新宿にある民間のPCR検査センターには行列ができていた。陽性の場合は医療機関での受診をすすめるが、行政への届け出義務はない

 全国の累計感染者数が30万人を超えた新型コロナウイルス。だが、この数字は氷山の一角にすぎない。なぜなら、感染の疑いが濃厚な“隠れコロナ陽性者”が大量に潜伏していると思われるからだ。 「年末にのどの痛みと全身の筋肉痛、38℃を超える発熱がありましたが、すぐに治まったから大丈夫だと思って新年会に参加しました。でも、食事を口にするとまったく味がしない。まさかとは思いましたが、それから数日がたって、新年会の参加者から次々と体調不良の報告が……。陽性反応が出ても責任を追及されることになるので、病院に行かず自宅療養しました」(男性・39歳・運送業)  個人の意思で検査を回避する者だけではない。今回話を聞いた人のなかには、いわば「会社ぐるみ」で確信的に検査逃れをしているケースもあった。 「社内で感染者が出たのですが、時差出勤や交代勤務で人手が足りず、濃厚接触者でも出勤させられていました。その結果、濃厚接触者が次々と発熱。それなのに、会社は芋づる式にクラスター化するのを恐れて『検査に行かないように』という指示を出し、社員はそれに従うことになりました」(31歳・男性・製造業)  さらに、“隠れ陽性者”のなかにはこんな悪質な事例も……。 「知人にフォトショップで陰性証明書を作ってほしいと言われて驚きました。同僚にコロナ陽性者が出て、検査を受けなきゃいけないけど、仕事を休みたくないようで」(男性・42歳・グラフィックデザイナー)

隠蔽工作が後を絶たない理由

 なぜ、このような隠蔽工作が後を絶たないのか? ドクター派遣業の理晏取締役の北條康弘氏は次のように語る。 「国から認可を受けた医療機関では、患者が陽性だった場合、保健所などの行政に報告することが法律で義務づけられている。そのため、陽性反応が出てしまうと濃厚接触者にあたる人に連絡が入って迷惑がかかることを気にして、病院に行かないという人も多い。派遣社員やアルバイトは、休めば給与も減ってしまいますから。  もしくは、民間の検査機関や市販の検査キットで済ませるケース。自費検査の場合、医療機関を受診していなければ、たとえ陽性でも行政への報告義務はなく、陽性者から『伝えないでほしい』と言われたら、従うところが大半です」  東京23区の保健所では、民間の検査機関が行った自費検査で陽性者の届け出がなかったケースは、17の区で確認されたという。  さらに、前述したケースにあったように、陽性反応が出たにもかかわらず、陰性診断書を出してほしいという人も少なくないという。 「芸能プロダクションやYouTuber、大企業の会社員によく見られます。『カネはいくらでも積む』と言われたこともありましたが、当然お断りしました」(北條氏)
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コロナ差別を防ぐハラスメント対応が急務
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