新型コロナウイルスの変異種「B.1.1.7」、これまでわかってきたこと

ワクチンの効果は?

 英国医師会雑誌の報告によると、「B.1.1.7」は、3つの主要なワクチンが標的としているスパイクタンパク質の変異がありますが、ワクチンはスパイクタンパク質の多くの領域に対する抗体を作るため、効果が下がる可能性はほとんどありません。  ただし、時間の経過とともに、より多くの変異が発生するにつれて、ワクチンを変更する必要がある(ここでもゲノム監視は鍵になります)かもしれません。季節性インフルエンザでは、毎年変異が発生し、それに応じてワクチンが調整されます。新型コロナウイルスは、インフルエンザウイルスほど速く変異することはなく、これまでの試験で有効であることが証明されているワクチンは、必要に応じて簡単に調整できるタイプです。  これまでと同じように、手洗い、マスクの着用、身体的な距離を置くこと、集まりを避けて換気をよくすることを続けましょう。また、日本でも、ゲノム監視が強化されることを期待します。 <文/大西睦子>
内科医師、米国ボストン在住、医学博士。東京女子医科大学卒業後、同血液内科入局。国立がんセンター、東京大学医学部付属病院血液・腫瘍内科にて造血幹細胞移植の臨床研究に従事。2007年4月より、ボストンのダナ・ファーバー癌研究所に留学し、ライフスタイルや食生活と病気の発生を疫学的に研究。08年4月から13年12月末まで、ハーバード大学で、肥満や老化などに関する研究に従事。ハーバード大学学部長賞を2度授与。現在、星槎グループ医療・教育未来創生研究所ボストン支部の研究員として、日米共同研究を進めている。著書に『カロリーゼロにだまされるな――本当は怖い人工甘味料の裏側』(ダイヤモンド社)、『「カロリーゼロ」はかえって太る!』(講談社+α新書)、『健康でいたければ「それ」は食べるな』(朝日新聞出版)がある。
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