個人プレーや部下に投げっぱなしのダメ上司。優れたリーダーに不可欠な3つの要素とは

 筆者はさまざまな企業の役員、管理職の方々とリーダーシップ実践スキルを向上させる演習プログラムを実施している。この演習プログラムでは、理屈や理論の解説を行わず、自撮りロープレを含む演習と問答を繰り返し、動作と話法の瞬発力を高める。職位が上がれば上がるほど、限られた時間で発揮した言動の積み重ねが、組織の命運を左右することになりかねないからだ。

スキルレベルは数値化できる

チームワークのイメージ画像

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 さて、プログラムでは演習シートに記入いただきながら、演習を行う。演習シートの記入内容によって、スキルレベルを数値化できるからだ。こうして、演習を始めた当初と終了時点でスキルレベルがどう変化したかを捉えると、成長性を数値化できる。  また、一部の人が発言できる機会に発言したかどうかで能動性が、全員が実施すべきことを何番目に実施したかで迅速性が数値化できる。  さらに、トレーナーのガイドどおりに演習シートに記入しているかどうかで正確性が、演習主旨を理解した記載になっているかどうかで理解力が数値化できる。発言の順番の計画と実際とのギャップの大小で、計画実行力も数値化できる。  能力領域の発揮レベルは、「やる気があるように見える」「いつも積極的なように感じる」というように、とかく印象論で語られやすい。  しかし、印象論で語っているうちは、見た人によって異なるという前提をぬぐえない。一定時間といえども発揮された事実を数値化して、客観視して捉えることに意味があるのだ。

優れたリーダーを構成する3つの要素

 数値化して捉えると、その人のリーダーシップスタイルが見えてくる。能動性・迅速性は高いが、正確性・理解力が低いリーダーもいれば、その逆の人もいる。正確性・理解力は高いが実行力が低い人もいれば、その逆の人もいる。  長所をさらに伸ばすか、短所を克服するかは、本人が着手しやすい順にフォーカスすることがお勧めだ。フォーカスしたい領域をほかならぬ本人が見極めて、さらに能力を高める取り組みをしていくことが、スキル向上の早道だ。  20年来演習を繰り返し、こうした演習成果や数値測定結果を算出し、フィードバックをするなかで、持続的成長を遂げるリーダーのモデルを私なりに描くようになった。そのモデルとは、とりわけ次の3つの要素を備えたリーダーだ。  1・成長性が高い  職位の高低、経験の有無によらず、成長性の数値が高く出ている。反復演習の都度、修正力を発揮している。  2・能動性、迅速性が比較的高い  パフォーマンスを上げている人ほど能動性・迅速性が高めだ。瞬時に行動発揮できる瞬発力が高いと言える。  3・能力発揮レベルのバランスが取れている    スキルレベル、成長性、能動性、迅速性、正確性、理解力、実行力、7つの能力領域の発揮状態において高低のバラツキが少ない
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できるリーダーは仕事の緩急を見極めて、他人に任せられる人だ
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