個人プレーや部下に投げっぱなしのダメ上司。優れたリーダーに不可欠な3つの要素とは

的確な「人任せ」がリーダーシップのカギに

 優れたリーダーは能動性・迅速性が比較的高めに出る傾向にあるので、自ら能動的・迅速に行動する場面ではそうするが、時と場合によってほかの人に任せたり、慎重に対処していると言える。  リーダーのなかには、なんでも自分でやってしまわなければ気が済まない人もいる。自分の考えたとおりに、寸分たがわず、部下にやらせたいという人だ。一方、何でも部下任せというリーダーもいる。  優れたリーダーはそのいずれにも陥らずに、自らアクションすべきことは能動性・迅速性を発揮して実施し、的確に見極めたうえで部下に任せもする。方針をそのとおり実施させたい、させなければならないときには、トップダウンのマネジメントを繰り出し、部下に検討させてやりたいようにやらせる場合には、ある程度の許容範囲のなかでボトムアップの巻き込み型のリーダーシップを発揮する。  このようなリーダーが、ある程度大きな組織を担うことができ、持続的成長を遂げている。リーダーシップを発揮できる優れたリーダーになれるかどうかは、ひとつひとつのタスクをほかの人に任せることができるかどうか、許容範囲をある程度広く持てるかどうかにかかっているように思えてならない。

優先順位をつけて「待つ」タイミングを見極める

 質問:できる仕事は自分でやってしまったほうが効率よいのではないか  ほかの人に仕事を依頼するといっても、ほかのメンバーや部下がやるよりは自分がやったほうが早い仕事もあります。上司にはそもそも仕事を依頼しづらいです。ですから、できるだけ自分がやってしまったほうがよいのではないでしょうか?  回答:ほかの人のアクションが終わってから実施したほうがよい業務がある  実は、ほかの人のアクションが終わってから、その結果をふまえて自分が実施し始めたほうがよい業務がたくさんあります。また、コミュニケーションがとれていないために、お互い知らぬうちに同様の仕事をやっていたということも、よくあるものです。  ほかの人に依頼するということを意識して、業務の優先順位をつけるということは、ほかの人のアクションを待って行う業務を見極めたり、ほかの人との業務遂行の重複を避けたりするという観点からも重要なのです。  「チームワークを大事にしましょう」「ほかのメンバーと協力し合って仕事をしましょう」ということがよく言われます。行動を分解していくと、チームワークを大事にして仕事を進められるかどうかは、ほかの人のアクションをふまえて自分がアクションするタイミングを見極められるか、業務遂行の重複を回避できているかというコアなアクションができているかどうかにかかっていることがわかります。 【山口博[連載コラム・分解スキル・反復演習が人生を変える]第223回】 <取材・文/山口博>
(やまぐち・ひろし) モチベーションファクター株式会社代表取締役。国内外企業の人材開発・人事部長歴任後、PwC/KPMGコンサルティング各ディレクターを経て、現職。近著に『チームを動かすファシリテーションのドリル』(扶桑社新書)、『クライアントを惹き付けるモチベーションファクター・トレーニング』(きんざい)、『99%の人が気づいていないビジネス力アップの基本100』(講談社+α新書)、『ビジネススキル急上昇日めくりドリル』(扶桑社)がある
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