米大統領選不正選挙説に熱を上げる門田隆将氏に見る、日本の保守界隈の「ネットde真実おじさん」っぷり

お仲間であるはずのケント・ギルバート氏にすら見放される始末

 このように月刊ムー並みに怪しいドミニオン疑惑なのだが、しまいには保守系のケント・ギルバートにすら「わたくし自身は、このドミニオンの機会によって不正が行われたということは「ない」と自分では判断しております」と見放される始末。トホホ。(参照:~まさかの敗北宣言か!? ~トランプ氏の当選への道筋の可能性 米政権移行開始~ケント・ギルバートチャンネル)   各方面から信憑性に乏しいと言われているにも関わらず、門田隆将氏はめげずに次々に燃料を投下し、まるで少年が珍しい昆虫を見付けた様に、無邪気に、根拠不明な情報を垂れ流し、ツイッター上で怪気炎を上げ続けています。 “私が不思議なのは「バイデン7800万票」に日米のマスコミが何の疑問も差し挟まない事だ。ドミニオン疑惑、二重投票、死者による投票、立会人排除の上の開票、大量に持ち込まれた謎の郵便投票等、多くの問題提起を念頭にこの図を見て欲しい。何も感じないなら記者をやめなさい  すごくご立腹の様子です。コレを見て何も感じなければ大上段から記者をやめなさいと激オコ。そのわりに、情報量が多くネタを投下しておきながら、全くソースが示されてないのは、そっちの方が記者としてどうなんだと思うのですが、しかもさらに、ここで述べられる疑惑も、低品質のガセネタである可能性が高いときています。  まず門田氏がTwitter上に挙げた「二重投票」は、既に訴訟では却下されていて(*6)、次の「立会人の排除」も、これは監視員が投票数を目撃するのを阻止されたというトランプの主張だが、選挙当局者にトランプ陣営の主張は虚偽であると否定されています(*7),(*8)。 また「死者の投票」の件は、確かにトランプの訴えるケースが存在しており、アメリカ在住の男が、死んだ母親を装ったとして、有権者詐欺の罪で起訴されているが、しかし、それはバイデンではなく、トランプに票を投じていたものでした(笑)(*9)。  こんな感じに、真っ当な記者であれば取り扱わない胡散臭いガセネタばかりで辟易してしまいます。

質の悪い「与太話」を真剣に垂れ流す門田氏

 ああ、最後の「大量に持ち込まれた謎の投票用紙」の件(これは投票用紙を机の下に密輸したと主張したトランプ陣営の流した監視カメラの疑惑なのだが)。これはジョージア州務長官と州選挙委員会の高官が既に否定していて、実際にはこの「旅行バック」は不在者投票に使用される標準的な箱であり、ジョージア州の選挙当局のトップによって、中に入っていた投票用紙は「普通の投票用紙」だと証言されています(*10),(*11),(*12)。  このようにことごとく胡散臭い与太話なのですが、最後に極めつけとして、門田氏が、バイデンの「不正投票組織」発言についてツイートした事を挙げましょう。 “「単に言い間違えたのだろう」と笑っていたバイデン発言がクローズアップ。例の「我々はかつてない最大規模の不正投票組織を設立した」とのご覧の発言だ。支持者は唖然として沈黙。だが言い間違いでなく「実際に何かある」とトランプ陣営は調査・警戒していた。法廷ではこの映像も話題を呼ぶだろう  なんと門田氏は、このバイデンの「不正投票組織」発言が、法廷の証拠になると思っているらしいのです。なんというかその「おめでたさ」に眩暈がしそうになってしまいます。大丈夫なのでしょうか。  これは文脈が切り取られた動画で、バイデンが選挙詐欺の為に不正投票組織を設立したのではなく、有権者の詐欺と戦うための「選挙保護プログラム」の奨励を言い間違えただけなのだ(*13)。   このように、かなり質の悪い「与太話」を真剣に垂れ流す門田氏なのだが、未だに訂正もしない所を見ると、これは致命的なレベルに色々問題があるんじゃないかと思わざるを得ません。
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門田氏のトンデモ主張は今に始まったわけではない
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