カルト業界も様々な動きがあった2020年を振り返る

カルト勢が呉越同舟していたトランプ支持デモ

カルト勢が呉越同舟していたトランプ支持デモ

 2020年も「カルト問題」に関連する様々なニュースがあった。その中から独断と偏見で10大ニュースを選んでみたい。やはり「カルト業界」にも新型コロナウイルス関連のトピックスが目につくが、一方で、政治に関わる話題も多い。順番に見ていこう。

10位:「ミイラ事件」ライフスペース残党が豊島区倫理法人会に集結

 1999年に千葉県のホテルでミイラ化遺体が発見された自己啓発セミナー団体「ライフスペース」(SPGF)のミイラ事件。「ヒゲのグル」として知られた代表者・高橋弘二はすでに死去し、ライフスペースは表向き活動を停止。しかしその妻やミイラ事件で逮捕されたメンバーなどが豊島区倫理法人会に入会し、ライフスペース幹部で事件を「冤罪」と主張する活動を続けてきた釣部人裕氏が同会会長におさまっていたことがわかった。  全国の倫理法人会を束ねる本部にあたる一般社団法人「倫理研究所」の担当者は、筆者の首位罪に対して、釣部氏がライフスペース幹部であることは知らなかったと語った。こうした取材や報道により倫理研究所側はすでに現状を認識しているが、現在も釣部氏は豊島区倫理法人会の会長のままだ。 ミイラ事件のライフスペース残党が豊島区倫理法人会に集結中<シリーズ「風化」するカルト問題・第1回>(ハーバー・ビジネス・オンライン)

9位:統一教会、総裁指示による名称変更をうやむやに

 統一教会(現・世界平和統一家庭連合)韓鶴子(ハン・ハクジャ)総裁が4月1日に、教団名を「天の父母様教団」に変更することを宣言した。ところがなぜか翌月、韓総裁は前月宣布した新教団名を何の説明もなく封印。全ての「摂理機関」(統一教会の教えを広めるための「統一運動」を推進する各教団関連団体)を包括する新組織「天の父母様聖会」の設立を発表した。今後、たとえば「天の父母様聖会 世界平和統一家庭連合」といった調子で、各団体の名称の前に包括組織の名称が冠されることになる。  これまで統一教会は、国際勝共連合その他のいわゆる「フロント組織」を教団とは別団体であると主張してきた。しかしこの変更により、各フロント組織は名実ともに統一教会と同じく「天の父母様聖会」の傘下団体となる。 〈参照:統一教会が組織再編、全摂理機関と共に新包括組織『天の父母様聖会』の傘下に。政治家対策に影響も<政界宗教汚染~安倍政権と問題教団の歪な共存関係・第28回>(HBOL、鈴木エイト氏

8位:幸福の科学学園がコロナ休校要請を拒否

 新型コロナウイルスの感染が広がる中、政府は4月7日に7都府県を対象とする緊急事態宣言を発し、16日にその対象を全国へ拡大した。これに伴い、都道府県知事が学校に対して要請する形で、私立も含め全国の小中高校の大半が休校に入った。しかし幸福の科学を母体とする学校法人幸福の科学学園が運営する2つの幸福の科学学園(那須校=栃木県那須町、関西校=滋賀県大津市)の2校はこれを受け入れず授業等を継続した。緊急事態宣言が解除されるまで、両校はそれぞれ「県内地唯一の休校しない学校」を貫いた。 〈参照:幸福の科学学園が2県で休校要請に従わず授業継続中。未成年信者に感染リスク(HBOL)

7位:幸福の科学大学、認可申請取り下げ

 その学校法人幸福の科学学園は、「幸福の科学大学」を開設すべく文科省に申請を行っていたが、7月31日付で取り下げていたことが9月に入って判明した。共同通信などが報じた。同学校法人はウェブサイトで「審査の過程で、本学が目指す教育の実現が難しくなると考えるに至り、今回の申請を取下げる判断を致しました」と、その理由を説明している。  同大学は2014年にも申請していたが、文科相の諮問委員会である大学設置・学校法人市議会が「科学的合理性が立証できていない『霊言(霊言集)』を教育の根底にすえるということは、大学の目的を達成できるものとは認められない」として不可を答申。不認可とされた。また、審査の過程で文科省職員を脅すなどしたとされ、当時の下村博文文科相から5年間は認可しないとする異例のペナルティを課された。しかし翌2015年に無認可のまま「ハッピー・サイエンス・ユニバーシティ」として開業していた。
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活発化する日本のトランプ大統領応援運動の背後にもカルトの陰
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