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2019年の11月1日、萩生田文科大臣が突然、それまで導入予定であった英語民間試験の活用を中止すると発表しました。その後、大学入試改革のもう一つの目玉である「大学入学共通テスト」における数学と国語の記述式の問題も中止になり、萩生田文科大臣は「もう一度まっさらな状態から」大学入試を考え直すため「大学入試のあり方に関する検討会議」を開催することになりました。
12月22日に第20回の会議が開かれましたが、この会議では「英語4技能評価のあり方」について話し合われ、論点は次の8点にまとめられていました。
(1) 英語4技能の育成・評価の意義
(2) 英語資格・検定試験活用の意義
(3) 共通テストの枠組みにおける資格・検定試験の活用の実現可能性
(4) 大学入試センターによる4技能試験の開発の実現可能性
(5) 個別選抜における英語4技能評価の形態
(6) 4技能評価の実施上の課題
(7) 高校教育までの学校教育の充実
(8) 大学入学後の教育の充実
しかしながら、分離できない項目もあり、各委員が項目にとらわれずに自由に発言する会議になりました。
英語4技能とは、「読む」「書く」「聞く」「話す」能力を指します。これまでのセンター試験では、この4技能は十分に測ることはできていないとされ、既に、4技能を測っているとされる民間試験に委託してはどうかというのが2019年11月に中止されるまでの考えです。大学入試センターがこの4技能試験を請け負えばよいという考えもありましたが、実務および開発力の限界に達しており難しいということでした。
なお、2019年11月以前の段階では、新学習指導要領による入試が始まるまで(令和7年1月)、民間試験と共通テスト(旧センター試験)は併用でどちらの選択をしてもよいということになっていました。ただし、満足な状態ではないにしても4技能を測っていたセンター試験(例えば、アクセントの問題はスピーキングに必要な動作と考えます)は、2技能(「読む」「聞く」)に特化した試験になりました。その後、民間試験の活用が中止されたので、今年度(令和3年1月実施)の試験から新学習指導要領に基づく試験までは、2技能の共通テストが実施されることとなり、新学習指導要領が開始されてからは、共通テストの英語がどのようになるかは未定です。
英語民間試験の活用が一端中止された主な理由は、「異なる民間試験の成績を的確に比較できるのか」「地域の格差(会場の数、受験機会などの違いなど)があってはならない」ということでした。(細かな理由はこれ以外にもあります。)