大学入試における英語の扱い、結論は2021年に持ち越しに

結論の出なかった2020年

 1年間かけて議論してきましたが、大学入試の旧センター試験の後継は結局のところ、民間試験に任せるのか、共通テストの枠組みで実施していくのかがはっきりしないまま今回の会議は幕を閉じました。  なお、会議の最後の方で再び芝井委員と渡部委員が次のように再度強く発言されています。 芝井委員  すべての学生・大学に英語の力を一律に要求するのはおかしい。学生によっては英語よりも大切なものがあるのでその点も考えてほしい。 渡部委員  英語4技能を別々に測るのは不自然である。4技能には境界がない。聞いて、読んでそしてそれを統合して話す力が問われている。そして、民間試験を純粋な気持ちで自分の能力を試すために受けているのならよいが、入試となるとせちがらくなる。例えば、こちらの試験の方が点が取りやすいから、こちらの試験を受けましょうということになる。こうやって教育をだらしなくしてほしくない。スピーキングはやらなくてもよいということではなくて、4技能を別々に求めていくことが不自然な姿である。  このように、民間試験かナショナルテストかどちらにするかはまだまた決着がつかない様子です。数学と国語の記述式とは異なり、委員の中でも意見が割れていますので、来年3月にこの会議が終わるまで注視が必要です。 <取材・文/清史弘>
せいふみひろ●Twitter ID:@f_sei。数学教育研究所代表取締役・認定NPO法人数理の翼顧問・予備校講師・作曲家。小学校、中学校、高校、大学、塾、予備校で教壇に立った経験をもつ数学教育の研究者。著書は30冊以上に及ぶ受験参考書と数学小説「数学の幸せ物語(前編・後編)」(現代数学社) 、数学雑誌「数学の翼」(数学教育研究所) 等。 
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