映画『新解釈・三國志』の“容姿いじり”はなぜ生まれたのか

福田雄一監督自身に変わってほしい

 福田雄一監督は、今や若者を中心に絶大な支持を得ているヒットメイカーだ。今年7月に公開された『今日から俺は!!劇場版』に至っては累計興行収入53.7億円を突破しており、「福田雄一監督なら観に行く」という層もかなりいるのだろう。  だからこそ、子どもも観る大衆向けの娯楽映画で、容姿をいじる、また差別的なギャグがあるというのは大問題だ。前述した渡辺直美への「時代考証的には美人」にも、城田優への「中途半端な外人顔」にも、劇場からは笑い声が漏れていた。それが誰かを傷つける言葉であると、認識していた方はどれほどいたのだろうか。  海外では、映画における差別的な表現ははっきりと問題視されている。日本で現在公開中の『魔女がいっぱい』は魔女が“3本指”であることが「手や足の身体の違いを怖がるものとして扱っている」などと批判され、主演のアン・ハサウェイは謝罪のコメントをインスタグラムに投稿した。  日本で2021年3月26日に公開予定の『モンスターハンター』は人種差別的表現があったために、すぐさま中国での上映が中止され、監督・出演者・製作会社が謝罪をし、当該のセリフが削除されることになった。  2020年の現在は、それほどまでに差別的な表現を許してはならない、明確になくしていくべきだという動きがあるのだ。そのような世界的な潮流の中で、容姿をいじるような差別的なギャグが、当たり前のように日本映画に存在しているという事実が、日本人としてとても恥ずかしい。  福田雄一監督並びにスタッフに、これらの容姿をいじる、また差別的なギャグを無くすよう、アドバイザーをつけるなりして、態勢をしっかりしてほしいと願うばかりだ。誰かを傷つける差別的な言動は誰もがしてしまう可能性があるし、そのことに注意していかなければならない、という危機意識は現代では必須だろう。そうすれば、きっと福田雄一監督も、作品の関係者も、変わってくれるものと信じている。 <文/ヒナタカ>
雑食系映画ライター。「ねとらぼ」や「cinemas PLUS」などで執筆中。「天気の子」や「ビッグ・フィッシュ」で検索すると1ページ目に出てくる記事がおすすめ。ブログ 「カゲヒナタの映画レビューブログ」 Twitter:@HinatakaJeF
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