最高値更新のビットコイン。好調の背景に超高利回りを生むDeFiとカネ余り。本格バブル突入か?

年利100%超も?超高利回りを生んだDeFi運用

仮想通貨 では、なぜこうしたDeFi系サービスが人気を博したのか? それは「儲かる」からにほからない。 「鼻の利く投資家たちが熱をあげたのが、DeFi系サービスを利用した『イールドファーミング』です。直訳すると“利回り農業”。文字どおり、DeFiで高いリターンを得る行為を指します。レンディングで仮想通貨を貸し出せば利子に相当するリターンを得られます。DEXに保有するトークンを預け入れるだけでも、流動性提供の対価として手数料収入が得られます。  さまざまなDeFi系サービスを駆使して個人投資家は利回りの最大化を図ってきたのですが、そんな“イールドファーマー”を爆発的に増やすきっかけとなったのは、ガバナンストークンの配布。議決権を有する投票券のようなトークンとして、コンパウンドが6月から流動性提供者やサービス利用者に対してCOMPの無料配布を開始したのが先駆けです。投資家は受け取ったCOMPの数に応じて、新サービスなどに対する自身の意思表示ができるようになったのです。  本来ならば金銭的価値のないトークンだったのですが、これを取り扱う取引所が現れると大爆騰してしまいました。その結果、多くのDeFi系サービスがガバナンストークンの配布を開始。流動性を供給することで、こうしたトークンの付与を受ける行為は“流動性マイニング”と呼ばれ、DeFiへの資金流入を加速させたのです」(田中氏)
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Compoundにおけるレンディングサービスの利回り一覧。イーサの貸し出し利回りは0.1%台だが、Daiなど3%近いものも

 このCOMPは取引所に上場するや否や、わずか4日間で6倍にまで急騰した。さらに、収益を自動的に最大化してくれる“レンディング代行サービス”の「yearn.finance」のガバナンストークンとして配布された「YFI」は上場1か月で320倍にまで大爆騰! あまりの人気ぶりから、「YFII」などのコピートークンを生み出すほどのムーブメントを巻き起こしたのだ。

2か月半で4倍増を達成したDeFiは一旦ピークアウト?

 その盛り上がりを如実に示しているのが、DeFi系サービスへの資金流入量の総額を示す「TVL(Total Value Locked)」。6月初旬は10億ドル(約1100億円)だったが、11月半ばには140億ドル(約1兆5000億円)にまで膨張したのだ。ただし、DeFiブームは一旦ピークアウトした可能性もある。「DeFiトレーダー」を自認するカナゴールド氏が話す。 「DeFi系トークン全体の価格推移を端的に示す指数で見ると、9月頭に高値をつけて調整局面にあります。その理由の1つは投資疲れでしょう。投資家の多くが寝る間を惜しんで流動性マイニングに熱中し、その投資熱の高まりに便乗するかたちで、パクリ系のDeFiやコピートークンが増殖しました。  バグが発見されて数日で100分の1に値下がりするようなトークンも現れたほか、10月にはレンディング系のハーベストファイナンスで制度設計上の粗を突かれて25億円相当のトークンが盗まれる事件も起こりました。DeFiには相応のリスクもあることが知れ渡って、流動性マイニングの人気が急低下したのです」  だが、ブームが去ったわけではない。 「一気に資金流入が進みましたが、このブームに乗れていない投資家が数多くいるのでバブルと呼べるような盛り上がりにはなっていません。DeFiで稼ぐには一定のリテラシーが必要なのです。バブル化するのは、誰もが買えるようになってから。日本の仮想通貨取引所がDeFi系トークンを上場させたら、再び仮想通貨全体がバブル的人気を博して急騰すると見ています」(カナゴールド氏)
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ビットコイン価格は’21年に4万~5万ドルに到達する!?
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