合衆国では、11/21-11/29が
サンクスギビング(感謝祭)の休日であり、本邦で言えば盆暮れ正月が一斉に来たようなとても大切な祝日です。この期間には、親戚一同が全米から一箇所に集まり会食(パーティ)を楽しむ習慣です。さらに一族郎党に加えてご近所さんまで呼び寄せます。大学生もキャンパスから出て里帰りしますので、全米の多くの大学では帰省をしないように学生に呼びかけました。それでも殆どの学生は帰省してしまうため、週一回の学内PCR検査に加えて出発前と大学に戻った直後のPCR検査を行った大学もあります。
CDCは、サンクスギビングの休暇直前の11/19になって漸く旅行を取りやめるように推奨するガイダンスを公表しました*が、時既に遅く11/21から空港が大混雑するに至りました**。市民の旅行が止まらなかったため、合衆国疾病予防管理センター(CDC)では、航空機などでの移動の前後に検査を行うことを推奨していました。
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Celebrating Thanksgiving 2020/11/19 CDC:旅行時の注意点が示されているが、旅行は避ける、サンクスギビングは同居者だけで祝う、zoomなどの遠隔手段で親戚と会食することなどが推奨されている〉
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Thanksgiving: CDC says avoiding travel and gatherings is safest 2020/11/19 The Washington Post:記事中の写真は、ロサンゼルス市のドジャースタジアムに設置されたドライブスルー・PCR検査場である。1日8,000人の検査能力があり、平均待ち時間は20分ときわめて円滑に運用されている。ドジャースタジアムは、全米最大のPCR検査施設(検体採取場)である。CNN New DAY 2020/11/15よ〉
CDCの対応が著しく遅れてしまったのは、
トランプ政権の徹底した無関心とホワイトハウスによる圧力の為とされ、世界最強の医療大国である合衆国は、4年前の有権者による選択によって全く精彩を欠き、今日では、
一日3000人を超える市民が死亡しています。合衆国では既に
累計30万人を超える人々がCOVID-19によって死亡しており、今月中に第二次大戦による合衆国の犠牲者数を超えます。
合衆国でも前年同期に比べると旅行者数は減少しており且つ日常の経済活動による移動傾向が大きいためにサンクスギビングの移動傾向への影響はむしろ減少に働いていますが、普段大きな移動をしない人たちが州をまたぐ大移動をし、更に目的地で会食(パーティ)をおこなった為に今週頃から新規陽性者の激増につながる可能性があり、厳戒されています*。合衆国は、100万〜200万検査/日という巨大な検査能力を持ちますが、既にロジスティクスの限界に達しており感染後、統計に表れるまでに20日前後を要しています。
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Despite Covid, 4 million traveled for Thanksgiving, new data shows 2020/12/15 CNN〉
合衆国における日毎新規感染者数(人Raw DATA)
2020/12/16には、新規感染者数が30万人/日を超えているがサンクスギビングの影響による急増は今週以降と見込まれている
OWID
CNNでは、公衆衛生や防疫の専門家がサンクスギビングの休暇を「
今年だけは同居家族だけで楽しむか、大勢で集まりクリスマスをICU(集中治療室)の中で迎えることになるかの選択になる」とまで踏み込んで連日盛んに発言していましたが、既に合衆国の医療は限界に近く、これから重症者が急増しても入院する病床すら無いという状況が迫っています。既に11月の時点でネヴァダ州のレノ病院では満床となり、駐車場を改造して病室を拡大したことが報じられています*。この病院では、11/29頃を頂点として一旦峠を越えましたが、サンクスギビングの影響による患者増加に備えて特設病室は維持しているとのことです。
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Nevada hospital treats patients in parking garage amid coronavirus surge 2020/12/07 CBS〉
レノ病院のICU担当医による特設病棟内でのセルフィーの
Tweetが出ましたが、トランプ大統領は、これをフェイクとするTweetを引用リツイートして厳しい批判を浴びました*。
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Nevada doctor Jacob Keeperman rebukes Trump retweet saying photo of covid medical unit was fake 2020/12/02 The Washington Post〉