売却して浮いた資金を調子のいい銘柄に回す作業を続けていくと、最後には「最も調子のいい銘柄」だけが残るわけだ。あとは上がっていく株価に合わせて少しずつ買いポジション(エントリー)増やして含み益を伸ばし、タイミングを見計らって利益を確定すればOK。この手法では、ほかの4銘柄への投資が失敗した場合でも、1銘柄でも株価が2倍高すればトータルで勝つことができる。
「含み損が発生している銘柄を抱えていると、精神衛生上よくありません。この手法なら最終的には含み益状態の銘柄しか手元に残らないため気分的にラクなんです」(9945氏)
5銘柄すべてを的中させることは困難だが、2倍高する銘柄を1銘柄でも捉えることができれば、残りの4銘柄がダメでもトータルでは勝つことが可能だ。残りの4銘柄に関しては、損失が広がらないうちに損切りすることが鉄則
さらに、人気株式評論家の
坂本慎太郎氏とサラリーマンにして億越えを果たした凄腕投資家・
弐億貯男氏は「
全資金をつぎ込むと相場急落時に対応できないので余力を持って臨むべき」と助言。この資金レベルになると、一度の大きな失敗を取り返すのが金額的に難しくなる。
「早めの損切り」と「余力を残す」ことを意識して臨むべきである。資産5倍増を達成するには、ある程度迅速な投資行動が必要なのだ。
▼有利子負債
中長期保有なら負債の少ない銘柄のほうがベター。ただ、成長のための先行投資による負債なら、営業利益の10倍以上など多すぎなければOK。
▼自己資本比率
財務内容を測る指標のひとつ。業種やセクターによって適正水準が違うが、ひとまず50%を基準にしよう。競合の数字と比べてみることも大事。
▼ROA
企業が資産や経営資源に対してどれだけの利益を上げられているかを見る指標。10%を基準値として、やはり競合会社と比較することが重要。
▼増収、増配傾向
売上高の伸びは企業の成長に不可欠。ある程度成長した企業の場合は、増配は株価を下支えするほか、株主に対する企業の姿勢も読み取れる。
▼営業利益率
やはり業種やセクターで水準が異なるため、同業の数字のチェックは必須。ここが高いと、売上高の伸びが利益の増加に直結する期待が持てる。
【こころトレード研究所・坂本慎太郎氏】
証券会社のディーラーや生命保険会社で債券のファンドマネジャー、株式ストラテジストなどを務めた後、個人投資家の育成を目的とした研究所を設立。自らも投資をする中、株式評論家として各所で活躍中。
【個人投資家・www9945氏】
歴30年近いベテラン投資家。株式投資を始めてから約20年で資産1億円を達成。’14年には清掃員やめ専業投資家に。高配当銘柄を土台に成長株への投資を続け、’19年には資産5億円を突破した。
【サラリーマン投資家・弐億貯男氏】
サラリーマンとして働くかたわら、’03年に250万円を元手に株式投資をスタート。それ以降、一貫して割安成長株への投資を続け、’19年には追加入金せずに2億円の大台を突破した凄腕投資家。
<取材・文/新井奈央 とにかく詳しい河村 図版/ミューズグラフィック>