「任命拒否の反発はかなり大きくなると思っていた」笑いながら答えた総理会見を信号無視話法分析
GoToトラベルの背後にある利権疑惑
ラジオフランス 西村カリン記者:「フランスの公共ラジオ局のラジオフランスの特派員・西村と申します。GoToトラベルについての質問をします。GoToトラベルキャンペーンは、強く推進する自民党の二階幹事長は、えー、全国旅行業協会の会長として務めていますが、結果的に他の業界・・、結果的に他の業界に比べて、自民党はこのトラベル業界を優遇するのではないかと思う国民はいると思われます。その点について、総理のご意見を聞かせてください。」
菅総理:
「あのー、GoToトラベルでありますけども、そもそも日本には観光関連の方が約900万人おります。全国にホテルや旅館、さらにはホテルや旅館で働く従業員の方。そして、えー、お土産を製造する、あるいは販売をされる方。農林水産品を、おー、納入する方。そうした地域で活躍されている方が観光を支えているということも、観光に従事している方が地域をしっかりと支えて頂いているということも、これ事実だという風に思ってます。(黄信号)
まあ、そういう中でこのGoToトラベルを政府としては、あー、この、あの、実行に移してきているところであります。そういう中で地域の中でそうした生活をしている人がですね、えー、このGoToトラベルによって、当時は、5月6月は稼働率が1割とか2割だったんです。そうした人たちは、もうこのままいったら、あー、まさにこの事業を継続することができないというような条件の中で、状況の中で、私どもはこのGoToトラベルをさせて頂いて、えー、今に至っていることであります。(黄信号)
二階、いー、幹事長が、と、特別ということではなくて、何がこの地域の経済を支えるのに一番ですね、役立つのかなという中で判断をさせて頂いたと、頂いているということであります。 (青信号) 」
まず、1段落目、2段落目はこれまでの答弁でも繰り返されてきた周知の事実を述べているだけのため、黄信号とした。関連する業界や団体の構成、問題となっている事柄の経緯を長く答えるのが、先ほどの1問目とそっくりだ。
1段落目:観光業従事者の構成
2段落目:GoToトラベルを始めた経緯
そして、3段落目でようやく二階幹事長と旅行業界の関係性に関する内容に踏み込んだため、青信号としたが、その内容はゼロ回答に等しい。「何が地域経済を支えるのに役立つのか判断した上で旅行業界を支援した」というニュアンスの回答に聞こえるが、他にも様々な業界がある中で、なぜ旅行業界なのかの説明は一切無かった。本来であれば、この点を追及する質問を重ねるべきだが、菅総理の回答後にすぐさま司会者は以下のように発言し、会見は終了された。
司会者(山田真貴子 内閣広報官):「えー、それでは、あのー、次の日程ございます。大変申し訳ございません。会見を終了させて頂きます。あのー、現在挙手をされている方で、あの、ご希望がありましたら、あのー、各1問を、あの、メールなどでお送り頂ければ、後ほど総理のお答えを書面で、えー、返させて頂きますので、ご理解頂くようにお願いします。えー、それでは、以上をもちまして、えー、本日の総理記者会見を結ばせて頂きます。皆様のご協力に感謝申し上げます。ありがとうございました。」
わずかに見どころはあったが、「出来合い」会見は変わらず
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