しかし、1月20日にバイデン大統領が就任してからは、ねじれ議会のため、コロナ禍による失業対策、景気刺激策がなかなか決まらずに、株高バブルが弾け飛ぶ……というシナリオも危惧されている。
「バイデン氏は国際協調を重視する姿勢を示していますが、石油産業や製造業が主要産業のラストベルトの3州で勝利したため、有権者に配慮してTPP(環太平洋パートナーシップ協定)復帰には言及していません。また、米国は3兆ドル超の巨額の財政赤字を抱えながらも、新型コロナウイルスの感染拡大による景気悪化を防ぐためには、今後も財政出動は避けられません。
この状態でバイデン氏の掲げるインフラ投資や社会保障給付の拡充を進めると、財政の持続性への懸念が高まり、長期的に米国のインフレリスクも高まる。各国が保有する米国債の価値が下落し、ドル安、株安が加速すれば、世界経済のマイナス要因となるでしょう。
いずれにしても、現在の株価は高すぎる。株価が上がり続けることはありませんので、どこかで調整が入ると見ています」
“トランプ・リスク”が去っても、世界経済の行方はまだまだ不透明だ。
<取材・文/齋藤武宏>