極右政権のプロパガンダを流し続ける公共放送にドン引き。与党ベタ褒めの内容に「共産圏だった頃より酷い」の声
メディアについて話すとき、よく「A局は政権寄り」「B局は御用メディア」といった表現を耳にする。ここ日本でも公共放送であるNHKについて、政権寄りであると批判されているが、極右政党が与党を占めているポーランドでも同じような状況になっている。
先日行われた米大統領選でも、連日選挙情勢について報道するメディアを指して、「バイデン寄り」であるから信用できないとか、「トランプ寄り」なのでファクトチェックなしに発言を流している……といった議論が、SNSなどで活発に行われた。
SNSや匿名掲示板の発展と並行して、あらためてメディアの中立性が注目されているわけだが、一方では真逆の流れも発生している。
たとえば、筆者が住んでいるポーランドでは、与党である「法と正義」がメディアへの介入を推し進めていると国内外から批判を浴びている。その状況は日増しに悪化する一方だ。
今夏行われた大統領選においても、与党の現職候補は日本で言うところのNHKにあたる公共放送TVP(ポーランドテレビ)での公開討論を要求、いっぽう対立候補は同局が政権寄りすぎるとそれを拒否した。
結果、それぞれが対立候補不在のまま、別なテレビ局の番組に出演し、ジャーナリストからの質問にのみ答えるという異例の「討論会」が行われる事態となった。
直接討論を行わない、行っても各々が言いたいことを一方的に述べるだけで討論が成立しない、ジャーナリストからの質問に真摯に答えない……。残念ながら、こうした光景はもはや世界中で当たり前になりつつある。
そんななか、先日友人から「スゴいものを観てしまった」と紹介されたのが、TVPの番組「Motel Polska」だ。公式HPによれば、リアリティ・ショーと政治をテーマにした画期的な番組とのこと。
さっそく、友人から送られてきたリンクを開いてみたところ、国会中継の映像を観ながら、観客がその内容についてコメントするという構成のようだ。テーマは、ポーランド全国各地で発生している妊娠中絶禁止法案への反対デモについて。(参照:TVP VOD)
おさらいすると、同国ではキリスト教カトリックの影響が強く、与党である「法と正義」は地盤である保守層の後押しを受けながら、妊娠中絶を厳格に禁じる法案を強行した。
すると、女性を中心に数万人規模のデモが発生。赤い稲妻をシンボルとして、コロナショック下であるにも関わらず、ストライキやデモ行進が行われてきた。まさに世論が真っ二つにわかれている問題だが、はたして番組ではどのように論じられたのだろう。
世界各地で揺らぐメディアの中立性
驚愕の「政治リアリティ・ショー」の内容
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