「中華航空(チャイナ・エアライン)」も見納めに?新型コロナで進む台湾の「脱CHINA」

 台湾のフラッグキャリアであり日本人にもなじみが深い「中華航空/チャイナ・エアライン」(本社:台湾・桃園市、華航)が、新型コロナウイルスの感染拡大の影響により大きく揺れている。  経営問題が明るみになったなどではないにも関わらず、コロナ禍が原因で永年親しまれた「中華航空/チャイナ・エアライン」という名前自体が消えてしまう可能性が高くなったのだという。果たしてその理由とは――。
中華航空/チャイナ・エアラインの機体(高雄市)。

中華航空/チャイナ・エアラインの機体(高雄市)。

新型コロナで揺れる「台湾を代表する翼」

 中華航空は1959年に中華民国の政府系航空会社として設立。2020年現在、マンダリン航空(華信航空)、タイガーエア台湾(台湾虎航)を傘下に持つ「台湾を代表する翼」だ。  1993年に民営化され株式を上場したものの、現在も政府系(財団法人中華航空事業発展基金会・行政院国家発展基金管理会)が株式の多くを保有するなど、その経営には台湾政府が大きな影響力を持っている。  その中華航空の「名前が消えてしまう」というのは、すなわち「政府の意向で改名させられる」ということだ。 「中華航空/チャイナ・エアライン」は一見すると台湾の航空会社であることが分かりづらく、そのためこれまでも何度か「台湾」を表す名前への改名が検討されてきた。  しかし、改名をおこなうには塗装の変更など多くの費用がかかるうえ「航空会社」という業種ゆえに、改名によって中華人民共和国や親中国国家との関係が悪化すれば経営に大きな影響があるとして棚上げ状態にあった。
華航園區(桃園市)

中華航空/チャイナ・エアライン本社がある華航園區(桃園市)

コロナ禍で大きく動いた「改名」問題

 永年「棚上げ」であった改名問題が大きく動くきっかけとなったのが、冒頭で述べたとおり「新型コロナウイルスの感染拡大」だ。  台湾は世界で最も新型コロナウイルスの封じ込めに成功したことで知られている。4月以降の感染者は殆どが海外からの帰国者やビジネスなどでの来台者で、それらを含めても総感染者は11月現在で600人台。こうした「ウイルス封じ込め」は国際的に注目を浴びているにもかかわらず、中華人民共和国の影響力が強い世界保健機関(WHO)からは実質的に締め出されており、中台間の溝は深まるばかりである。  そうしたなか、台湾が危惧しているのが、台湾内にある「中国」「中華」や「CHINA」を冠した企業や団体、そして「中華民国」政府自体が新型コロナウイルスの発生源とされている「中華人民共和国」と間違われ、国際社会で不利益を被ることだ。
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新型コロナで一気に加速する台湾の「脱CHINA」
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