ダウ平均が1万ドルを突破したのは、IT株が脚光を浴びた’99年。2万ドルを超えたのはトランプ大統領の就任直後の’17年1月。それから4年弱、コロナ禍で3万ドル台に
一方で、最新刊『
アフターバブル』(東洋経済新報社)を上梓したばかりの小幡績・慶應義塾大学大学院准教授はまったく異なる見方だ。
「実は、年初に米国株バブルは崩壊寸前だった。それがコロナショックによる前代未聞の金融緩和で、延命され、さらに膨張している……。最近では、上昇する理由がないのに、市場参加者が株価を上げたいがために、
自分に都合のいいように情報を解釈するバブルの末期症状が見られます。
例えば、大統領選の直前は『大統領、上下両院ともに民主党が制するトリプル・ブルーになれば、政策が一気に進む』と株価が上昇。だがその後、トランプ優勢の調査結果が出ると、『ビジネス重視のトランプは株式市場にプラス』と株はまた上がった。そして結果は、バイデン勝利も『上院は共和党が過半数で、ねじれ議会のため、公約に掲げている富裕層への増税は実現できないだろう』と、またもやダウは上がり、史上最高値を更新……相反する材料にもかかわらず、株価は上昇し続けたのです。
これは行動経済学でいう、都合のいい情報だけを集めてしまう『
確証バイアス』にほかならず、この状態をバブルと言わずして何と言うのか」
しかし、いつバブルが弾けるかは誰にもわからない。小幡氏が続ける。
「バブル崩壊の予想はどんなプロにもできない。だが、アマチュアがバブルと聞くと恐れるのに対して、プロはバブルにもわれ先に乗っていく。彼らが『さすがにもう……』とある種の満腹感を覚えたとき、意味もなく株価は下がり始めます。
’87年、世界で同時に株が暴落したきっかけとなったブラックマンデーも、
明確な理由もなく株価が下がり、売りが売りを呼んで大暴落に繋がった」
ダウ3万ドルは単なる通過点か、それとも……。
ワクチンへの期待が株高を支えているため、もしワクチンの効果に疑問符がついたり、強い副作用が発見されれば、株価は急落する可能性が高い。
本来ならば治験に数年はかかるところを大幅に短縮しているため安全面の不安は大きく、接種がどこまで広がるかも不透明だ。コロナバブルもワクチン次第か。
<取材・文/週刊SPA!編集部>