Flashは滅びぬ、形を変えて復活する! 喪失される電脳文化を残そうと奮闘する人々

今Webで起きていること、WebAssemblyの世界

 パソコンからも、スマートフォンからも利用できる状態を見ていると、全てのコンテンツや操作は、Webページに集約されるのではないかと感じることがある。利用者側だけでなく開発者側としても、ローカルでできていたことを、Webページ上で再現できればと思うことは多い。  WebAssembly という技術は、そうした希望の突破口を開いてくれる。最近、ローカルで動いていたプログラムの、WebAssembly を利用したWeb環境への移植を目にする機会が増えた。  最近個人的に注目しているのが、ffmpeg.wasm だ。  FFmpeg というのは、非常に著名な、動画と音声を操作するプログラムだ。ファイルフォーマットを変換したり、動画や音声を切り出したり、結合したりすることができる。動画や音声を扱う処理は、非常に重い。そうした処理が、Webブラウザ上からローカルと同じようにできるというのは、素直に凄い。  ffmpeg.wasm のように、WebAssembly を利用して、これまでローカルで実行していたプログラムが、Webブラウザで動くなるケースが、今後どんどん増えると思う。  WebAssembly は、高速で計算をおこなえるということで、Webブラウザ上での暗号通貨のマイニングに利用されるケースもあるようだ(ZDNet)。そのため、Webページを見ていると、気付かないうちに計算資源を利用される可能性もあるだろう。そうした話題を見かけたときに理解できるように、WebAssembly という技術があると覚えておくとよいだろう。 <文/柳井政和>
やない まさかず。クロノス・クラウン合同会社の代表社員。ゲームやアプリの開発、プログラミング系技術書や記事、マンガの執筆をおこなう。2001年オンラインソフト大賞に入賞した『めもりーくりーなー』は、累計500万ダウンロード以上。2016年、第23回松本清張賞応募作『バックドア』が最終候補となり、改題した『裏切りのプログラム ハッカー探偵 鹿敷堂桂馬』にて文藝春秋から小説家デビュー。近著は新潮社『レトロゲームファクトリー』。2019年12月に Nintendo Switch で、個人で開発した『Little Bit War(リトルビットウォー)』を出した。2021年2月には、SBクリエイティブから『JavaScript[完全]入門』、4月にはエムディエヌコーポレーションから『プロフェッショナルWebプログラミング JavaScript』が出版された。
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