大阪の重症者数は東京の約2倍で、全国でも最悪となっています。他の自治体に比べて死亡率も高く、医療機関や高齢者施設での集団感染も確認されており、大至急の体制見直しが必要です。
ところが、これほどの緊急事態に大阪維新の会は何をしていたのかと言ったら、
ホテルの大広間を借り、新しい代表を決めるための選挙をしていました。「新しい代表なんて暫定的に誰がやってもいいから、今は市長や知事の仕事に専念してくれ!」とお願いするべきタイミングで、どいつもこいつも何の疑いもなく、雁首揃えてホテルに集まる始末。
ただでも
「身を切る改革」だと言って、保健所の数が減らされていて、「コロナかもしれない」となった時になかなか検査してもらえない環境が続いている大阪。独自にPCRセンターを作る自治体もあり、どこも発症の疑いがあった場合に検査するまでのスピードは早くなってきているというのに、地元の声によれば「
大阪はいまだに6日近く待たされる」ということで、半年経ってなお、何も進化していないのです。6日もあったら、この間に症状が軽くなってしまった人は出歩いてしまうだろうし、入院もできずに悶絶しながら家で過ごすことになってしまうので、こうしている間に家族の感染リスクが高まるという話になります。
一刻も早い対策が求められている時に、自分たちの政党の話に明け暮れて、議会では「
職員叩き」に勤しんでいるのですから、このままだと
次の選挙で大阪維新の会をトリアージしなければならなくなります。
吉村洋文知事は、わざわざ記者会見を開き、迂闊にも「新型コロナウイルスにイソジンが効く!」と言ってしまったので、
塩野義製薬の株を上げることには成功したものの、自身の株は大暴落。しかし、先日、毎日放送の番組に出演した際、トイレにイソジンが置いてあるのを見て大喜び。丁寧に写真までつけて「僕のうがい薬会見を散々批判してたけど、自社のトイレにポビドンヨードのうがい薬を置いてるやんか。思わず使っちゃったよ」と紹介していました。
僕がスタッフだったら、吉村洋文知事が来ると言われた瞬間、楽屋にお茶やお菓子を置くのと同じような感覚で、おもてなしの一環としてトイレにイソジンを置いておきますけど、特別な歓迎を受けているのかもしれないとは思わないのでしょうか。そうじゃなかったとしても、これから新型コロナウイルスだけでなく、普通の風邪やインフルエンザが流行る季節になるので、たとえ普通の風邪だったとしても、出入りしている人たちに体調を崩されるとややこしいことになるので、うがい薬を置いておくことはあるかもしれません。少なくとも「新型コロナウイルスに効く」と思って置いているわけではないでしょう。吉村洋文知事は、どこまで天然なのでしょうか。
ヤバいのは大阪だけではありません。
東京では
小池百合子知事がフリップを見せながら「
5つの小」と言い出し、「3密」に続く「
5小」を唱え始めました。「小人数」「小一時間」「小声」「小皿」「小まめ」だそうです。少ない人数でと言いたいなら「小人数」は「少人数」だと思うのですが、「小一時間」が出ている時点で、それはもう
大喜利のように強引に捻り出したのではないかと思わずにはいられません。
だいたい小池百合子さんにフリップを掲げながら会見をされて、このご時世に何も気にせず居酒屋で飲んでいるオッサンたちが「いっけねぇ、小一時間って言われているのに、もう2時間経つや。解散しようぜ!」となるんでしょうか。なんなら「GoToイートで安いから、もう1軒行こう!ぜ」になってしまうのではないかと思わずにいられません。
この国の新型コロナウイルス担当大臣も、なかなかです。
西村康稔さんは、これから新型コロナウイルスがどうなりそうかを聞かれて「
神のみぞ知る」と答えました。
「神のみぞ知る」にならないように仕事をするのが新型コロナウイルス担当大臣の仕事であり、なるべく
データを集め、精度の高いシミュレーションして、少しでも感染者を減らせるように、経済を回せるように手を打つのが「仕事」というものです。
この国の科学的・医学的な権威である
尾身茂・新型インフルエンザ等対策閣僚会議新型インフルエンザ等対策有識者会議会長兼新型コロナウイルス感染症対策分科会長も、なかなか強烈です。感染を予防する食事の仕方として、右手にお箸、左手にマスクで、一口食べてはマスクをするという斬新な方法を世の中に提案しました。それではミートソーススパゲティーでも食べていた時には、マスクの裏側がベトベトのミートソースまみれになると思うのですが、
実際にやったらどうなるかをまったく考えない机上の空論を並べる始末。
菅義偉総理大臣も「
マスク会食」なるものを推奨。こうしている間に、この3連休は羽田空港で大行列ができており、みんなが「
GoToトラベル」で旅行しまくり。こんなに医療崩壊待ったなしの大流行になりそうな時に、政府が旅行することにお墨付きを与えているのですから、みんな、旅行するに決まっているのです。国家単位でも自治体単位でも、考えも能力もない政治家をやっているところは悲惨です。
僕が選挙ウォッチャーになって口を酸っぱく言っているのは、「
相応しくない人間を政治家にしてはいけない」という一点です。相応しくない人物を政治家にすると、「トリアージ」みたいな言葉を簡単に使い、命が守られなくなってしまうからです。こういう輩に問題を解決することはできません。なぜなら、能力がないからです。問題が難しくなれば難しくなるほど解決できません。無能だからです。自分たちの選んだ政治家がちゃんと仕事をできる人なのかを、改めて見てみる必要があります。新型コロナウイルスの対応一つで、それはよくわかるはずです。
<文/選挙ウォッチャーちだい>
選挙ウォッチャーとして日本中の選挙を追いかけ、取材しています。選挙ごとに「どんな選挙だったのか」を振り返るとともに、そこで得た選挙戦略のノウハウなどを「
チダイズム」にて公開中