「卒業後3年以内は新卒扱い」で就活は変化するか? 「結局在学中の学生の方が有利になるのでは」という懸念も

 コロナ不況の煽りを受けた企業が採用を中止ないしは採用人数を減らした影響で、大学生の就活は売り手市場と言われていたコロナ前と一変、厳しい状況となっている。  厚生労働省が17日に公表した令和2年度大学等卒業予定者の就職内定状況(10月1日現在)は前年同期比7.0ポイント減の69.8%。昨年筆者が就職活動をしていた頃は、この時期にはほとんどの大学生が内定をもらっていたと記憶しているが、今年は7割を切る結果となった。
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写真はイメージです(以下同)

「3年以内は新卒扱い」で就職活動は変化するか?

 新型コロナウイルスの影響を受けている大学生を支援するため、萩生田文部科学大臣など関係大臣が経団連をはじめとする経済4団体に対し、卒業後少なくとも3年以内は新卒扱いとする国の指針を踏まえた対応を要請した(10月27日のNHK NEWSWEB「就職活動『卒業後3年以内は新卒扱いで』政府が経済4団体に要請」より)。  もしもこの要請によって「卒業後3年以内は新卒扱い」が一般化したら、これまでまことしやかに囁かれてきた「既卒オワコン説」は終わりを迎えるのだろうか。今回は来年に就職活動を控える大学3年生、現在就職活動中の大学4年生、そして今年3月に大学を卒業し現在「既卒」として就職活動をする23歳に話を聞いた。

「ギャップイヤーのような価値観が広がってほしい」

 最初に話を聞いたのは現在大学3年生の橋本麗華さん(仮名)。上記の記事を読んでもらったところ、「いいと思います」と肯定的な反応を見せた。 「これを機に、コロナだけの特別措置といわずギャップイヤーみたいな価値観も広がるといいなと思います。私も卒業後海外に行ってから就職したいなーと思っているので」  ギャップイヤーとは、卒業してから入社するまでに数ヶ月から数年の猶予を設け、その間に旅をしたりアルバイトをしたりなど社会人になってからではできない経験をすることを指す。彼女は卒業してから就職するまでに、海外旅行をしたいのだそうだ。  しかし、「3年以内は新卒扱い」が一般的になったとき、大学生の立場で考えられるデメリットは「ライバルが増える」ということだ。これまでも既卒を受け入れている企業は存在したが多くはなかった。しかし既卒の受け入れが一般化したら、単純に計算して倍率は上昇するだろう。その点について橋本さんはどう考えているのだろうか。 「それほど深刻視はしていないです。私の志望しているのが人気業界ではないということが大きいかもしれません。それと、まだ自分の軸が定まりきってないうちに焦って就活しても良いことはないと思っているのもあって、猶予があるなら自分のしたいことがもっとできそうだし、そっちの方が就活もうまくいきそうだなという期待もあります」  確かに筆者も自分が何をしたいのかわからないまま就職活動を始め、迷走している学生を何人も見てきたし、筆者もその1人であった。あくまでこの要請はコロナ禍で厳しい就活を強いられている大学生のためのものだが、猶予期間ができることによって自分を見つめ直すこともできるのではないかという期待も持てる。
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