立花孝志のYouTubeチャンネルより
NHKから国民を守る党は、11月13日の記者会見で、来年1月1日から「
ゴルフ党」に名称変更することを発表した。正式名称は「
ゴルフ党(NHKから国民を守る党)」だというが、略称は「ゴルフ党」で、これから世論調査などで名前が出る時には「N国党」ではなく「ゴルフ党」となる予定だ。
NHKから国民を守る党は、昨年7月の参院選で、NHKの受信料問題に取り組むというワンイシューで議席を獲得した政党である。新型コロナウイルス対策をはじめ、経済政策、外交政策、少子高齢化に歯止めがかからない日本の未来をどう描くかなど、本来、政治家が話し合うべき項目はたくさんある。そんな中で、あえて一点集中で「NHK問題以外は何もやらない」と宣言して議席を獲得した政党である。コロナ倒産が相次ぎ、経済的に苦しい庶民がたくさん生まれる中、NHKの受信料問題は何一つ解決しているとは言えないのに、NHKから国民を守る党はこれから
「ゴルフ」に関する政策を始めるそうだ。
NHKから国民を守る党の副党首である柏市議の大橋昌信は、同党の「NHKに関する政策」は、既に8~9割終わっていると発表した。対NHKの裁判では連戦連敗のN国党であるが、「NHKの訪問スタッフは弁護士法72条違反している」の一点張りで、NHKの受信料問題はほぼ解決したのだという。
しかし、
公約として掲げていたはずの「NHKのスクランブル放送化(NHKを見たい人だけがお金を払うシステム)」に関しては、まったく前進していない。今年10月に地上波のNHK受信料は35円値下げされたが、これはNHKから国民を守る党の働きかけによるものではない。ついでに言うと、自民党の武田良太総務大臣は、NHKに「コロナ禍において国民のために何ができるか。家計負担を減らす受信料の値下げから着手するのが、公共放送のあるべき姿だ」と発言し、受信料を値下げを求めた。実は、こうして動いているのはあくまで「自民党」で、「NHKから国民を守る党」ではない。
自分たちは何一つ動いていないし、日々、裁判ばかりを繰り返しているにもかかわらず、なぜか当人たちは「ほとんど問題が解決した」と認識しており、「次のステージに行くために」ということで、今度はゴルフに関する政策を掲げるのだという。消費税を下げるでもなく、新型コロナウイルス対策を強化するでもなく、よりによって「ゴルフ」。この人たちの優先順位は一体、どうなっているのだろうか。
NHKから国民を守る党の上杉隆幹事長が大のゴルフ好きであることは有名な話だが、6年前から「日本ゴルフ改革会議」の事務局長を務めているそうで、立花孝志は上杉隆幹事長やプロゴルファーの片山晋呉氏らとコースを回るうちに、党名を「ゴルフ党」にして、ゴルフ場利用税や国家公務員のゴルフ禁止などの問題に取り組むことを考え始めるようになったのだという。
まさに今、世の中はアメリカの大統領が新しくなり、世界中で新型コロナウイルスが猛威を振るっている中にあって、多くの国民は「ゴルフ」にまつわる政策をほとんど望んでいない。おそらく、まずは新型コロナウイルス対策だろうし、同時に経済の立て直しが大きな関心事になっているはずだ。
一度はNHKの受信料問題という多くの人に共感してもらえるワンイシューを掲げ、多くの人の心を掴んだのに、今度はよりによって「ゴルフ」だというのだから、「なぜゴルフなんだ?」と思っている人は多いだろう。
もし政党名を「ゴルフ党」に改名し、ゴルフにまつわる政治を始めるんだと宣言すると、党首の立花孝志や幹事長の上杉隆のゴルフ代は「経費」として認められることになる。ゴルフの問題点を知るためにゴルフをするのだから、「これは調査なんだ」と言われたら、調査費として認めざるを得ないはずだ。すなわち、これから党の関係者たちは、政党交付金で「ゴルフやり放題」になるというわけである。ゴルフ好きにはたまらないだろう。