NHKから国民を守る党、「ゴルフ党」へ改名。副党首も困惑

政党の獲得票数が0.6%を下回る可能性は高い

 立花孝志は、党名変更を発表した記者会見で、今度の衆院選で獲得できた政党の票が0.6%を下回った時には、すべての活動を停止して借金の返済に充てると明言している。  残念ながら、年内に解散総選挙が行われる可能性は、物理的に「ない」と言っていいだろう。どんなに早くても来年の年明け以降になるわけだが、その頃には「NHKから国民を守る党」は「ゴルフ党」である。  立花孝志の頭の中では、ゴルフはスポーツの中でも新型コロナウイルスとは無縁だと考えているようだが、実際のところは、それなりに感染リスクの高いスポーツではある。というのも、プレイ中は青空の下で密になることもないように思うかもしれないが、4人1組でコースを回るスポーツであるゆえ、ランチタイムには会話をしながら食事をすることになるし、仲間を車で送迎することもあるだろう。青空の下でマスクをするのは息苦しいため、青空の下だからこそマスクを外す人も少なくないだろう。無言でゴルフに集中する人も少ないだろうから、とにかく会話をする。つまり、ゴルフが必ずしも感染リスクの低いスポーツだと言うこともできない。  どうやら立花孝志は、新型コロナウイルスが流行しているからこそ、ゴルフで健康増進なんだと訴えているわけだが、もし新型コロナウイルスが爆発的な流行を見せることになれば、ゴルフに行く人も少なくなる。つまり、これは時代を逆手に取った戦略でもないのである。  そうなった時に、「ゴルフ党」が各比例ブロックで0.6%以上の得票率を得られるかという話になるのだが、今年7月の東京都知事選で立花孝志が獲得した得票率が0.7%程度である。今回の「ゴルフ党」への改名騒動によって、いよいよライトな支持者層ではなく、本格的な支持者層が離れるようになってきたため、せいぜい0.4%ぐらいしか取れなくなってしまうかもしれない。イメージとしては、幸福実現党がそれくらいの数字である。そうなった時には、党の運営を諦め、コールセンターも縮小し、政党交付金で借金の返済をするだけの政党になるという。ちなみに、政党交付金を借金の返済に充てることはできないが、立花孝志は「できる」と豪語している。

炎上狙いのN国党員、食べ物を踏みつける

川西こうじ

2022年4月の松山市議選に挑戦することが公表されている川西こうじが投稿した動画(川西個人のYouTubeチャンネルより)

川西こうじ

2022年4月の松山市議選に挑戦することが公表されている川西こうじが投稿した動画(川西個人のYouTubeチャンネルより)

 末端にいるN国党員たちは、今日も「NHKから国民を守る党」を有名するために炎上芸に必死だ。2022年4月の松山市議選に挑戦することが公表されている川西こうじは、大流行中の「鬼滅の刃」のコスプレで、「アフガニスタンのクソガキ、見てるか!」と言いながら、パンやおにぎりを地面に叩きつけ、それを踏むというパフォーマンスをやって見せた。  非常に悪質なのは、飢餓にあえぐ貧困のアフガニスタンの子供たちを名指しして、わざと踏みつけている点である。本人いわく「有名になりたくてやった」ということであるが、こんな人間にも地方議員になって年収1000万円くらいの一攫千金のチャンスを与えようというのが、NHKから国民を守る党であり、来年1月からは「ゴルフ党」である。  面白い動画を撮りたくて、結果的に思いが至らず、食べ物を無駄にしてしまったというのなら、まだ情状酌量の余地があったかもしれない。だが、この国政政党の公認候補がやっていることは、生まれた国が貧しかったばっかりに、何の罪もなく食糧にありつけず、不幸にも命を落としてしまう子供たちに対するヘイトである。こういうことにすら思いが至らない人間が議員になって、地元の貧困にすら向き合うこともなく、税金をゴルフに使おうとしているのである。  私はこれまで2年以上にわたり、やがて「ゴルフ党」に改名される「NHKから国民を守る党」が、政治というものをいかに愚弄しているのかを伝えてきたつもりである。立花孝志によって、さまざまな悪評を立てられるようになってしまったが、それでも現状を見れば、こんな政党にはとても投票できないということは、ご理解いただけるのではないだろうか。  ゴルフ党に改名することを発表した直後、立花孝志は「【野球大会】立花は3打席◯安打でした!」という動画をアップしている。オッサンが草野球で何打数何安打だろうと知ったこっちゃないが、「ゴルフ党」と言いながら野球をアップしている時点で、ナックルボールのごとくブレている。  年内には、金利10%以上、5000万円以上の借金の金利の支払いが発生するNHKから国民を守る党だが、記者会見では「5億円の借金の中から返済する」と語っており、懐事情は大変厳しいものになっていると推測される。せっかくゴルフがやり放題になったとしても、もうすぐゴルフもできない環境に置かれるかもしれない。まだまだN国党から目が離せない。 <取材・文/石渡智大>
普段は選挙ウォッチャーちだいとして日本中の選挙を追いかけ、取材。選挙ごとに「どんな選挙だったのか」を振り返るとともに、そこで得た選挙戦略のノウハウなどを「チダイズム」にて公開中
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