山本淳さん(仮名・48歳)のBEFORE→AFTER。治療薬やサプリの効果も虚しく、頭皮は閑散としている。「最近は白髪も目立つように。もう現状を受け入れるべきなのでしょうか……」
続いて埼玉の製薬会社に勤める山本淳さん(仮名・48歳)の例だ。半年前は健康的な黒々した髪が生い茂っており、毛染めもしていなかった。まさにフサフサだが、実はAGA治療薬を長年服用した結果だという。
「30代前半から抜け毛が止まらず、以前は“落ち武者”レベルでハゲていました。そこで当時ネットで話題になっていた国内承認前のAGA治療薬を個人輸入して、見事に復活しました。白髪なんて一本もないぐらいでしたね~」
劇的な毛髪の復活に、社内で一時“カツラ疑惑”が出たほどだったが、山本さんは誇らしげに黒髪をなびかせていた。しかし……異変に気づいたのは、この10月初旬だ。
「会社のオンライン会議で、モニターに映った自分の頭頂部が輝いていました……。『ずっと薄毛治療に取り組んでいるから大丈夫だろう』という油断があったのかもしれません。思い当たるのは、不摂生ぐらい。3月から出社は週1回程度になり、在宅勤務で生活リズムが変わりました。共働きの妻とは、食事が別々なので昼はカップ麺、夜は酒とツマミで空腹を紛らわす。深酒や夜ふかしも増えましたからね……」
近頃ははいていたズボンもきつくなり、秋の健康診断では「メタボ一歩手前」と医師から警告を受けた。
「小6の娘に『鬼滅の刃』を観にいこうと誘ったら『デブハゲなパパとは行きたくない!』と言われて……さすがにこたえましたね」
今も山本さんの頭頂部の毛は、Go Toしたままだ。
なぜコロナ陰性者でも、毛が抜ける人が続出したのか。前出の小山医師はこう説明する。
「まず考えられるのが、コロナ禍のストレスです。将来への不安や、外出自粛で自由に遊びにいけない現状。ストレスにより自律神経が乱れ、頭皮の血行不良を引き起こしたり、発毛に関わる種々のホルモンのバランスに悪影響が生じて、抜け毛の増加や、脱毛症の進行の一因になっている可能性もあります」
まさに前出の筧さんがその例で、ストレス緩和や治療で戻ることもあるという。一方、2人目に紹介した山本さんは薄毛治療中だったのに、なぜハゲたのか?
「治療薬の効果が落ちたわけではなく、先ほどのストレスに加えて、食事、睡眠、運動、喫煙といった生活習慣全般におけるコロナ禍での変化が脱毛症の進行に影響した可能性を考えます。AGA治療もコロナ前のケアだけでは十分に対応できない人も出てきているので、我々も“新しい生活様式”に対応する治療、アドバイスを提案していきます」(小山医師)
これは男性だけの症状ではなく、女性からも相談が増えているという。健康と思っていても、頭髪は“変調”のサインを送っているのだ。手遅れになる前に、新しいヘアケアを心がけていきたい。