Googleも認めた天才が導き出した戦略。AIで勝つ不動産投資

AIはあくまで1次フィルタリング

李天琦氏

李 天琦氏

 一切の主観を排し、AIが適正価格を算出。適正よりも2~3割安い値段で売り物件が出ていたら、李氏のスマホにアラートが飛ぶ。 「物件価格を決める一番の要素は『立地』で約50%、次が『築年』で約30%。気にされる方も多いかもしれませんが南向き、間取りといったスペックの違いは資産価値に1%程度しか影響しません。そうして真に資産性に優れている物件を探すと、必然的に投資すべきは『都心メガターミナル周辺の築古マンション』になります。投資利回りはまちまちですが、基本的には8~12%ほどです」  もっとも極めて精度の高いフィルタリングを行ったところで、それだけで投資は完結しない。 「AIはあくまで1次フィルタリング。その後は人による2次フィルタが必須です。割安物件だと思ったら、エレベータなし物件の6階、管理組合が崩壊、ヤクザの事務所が隣なんてこともあります。告知事項もAIの苦手分野。一口に告知事項といっても、おじいちゃんが老衰で亡くなった部屋と、一家惨殺事件が起きた部屋では全然違いますからね。あとは価格交渉もAIにはできない人間の重要な仕事。直接、売り出し理由を聞いて、どの程度の指し値までなら通る可能性があるか判断するのをAIに任せるのはまだ難しいです」

都心駅近物件の需要はまだまだ右肩上がり

 こうした投資ポリシーのもと、’12年に初めての物件を購入して以降、新宿や渋谷、池袋、五反田、浜松町駅至近の1000万~2000万円程度の築古区分に絞って物件の購入を続けている。 「当初は別のビジネスでつくった現金を元手に不動産を購入していましたが、現在は限界までレバレッジを利かせて投資に回しています。大学卒業後に一度、DeNAに就職しましたが、これも与信を高めるためという面もありました」  現在は個人だけで都心一等地の区分を10室以上保有、家賃収入は1000万円を突破している。さらに誰よりもロジカルに投資に取り組む李氏にとって’20年はまたとない投資機会になったという。 「普段であれば、僕が投資を検討する物件情報は東京全域で一日あたり5~6件程度。それが自粛期間の4~6月には一日20件くらいに急増しました。コロナによるパニック売りや民泊の撤退売りが、あの頃は相次いでいましたね」  コロナ禍の混乱に勝機を見いだし、数か月で個人・関連法人でさらに約1億円分の投資を敢行。自身も所有物件で民泊を運営していたが、影響は軽微だったという。 「自分の民泊物件も需要が激減したため、一般賃貸に切り替えたところ、2週間程度で埋まりました。やはり都心物件は需要がいくらでもあるので貸すのに困りません。売買データで見てもすでに都心の取引量は回復していますし、長期的視点に立てば、都市部には伸びしろがあるのは明らか。メガターミナル近辺は今後、超高層ビルが立ち並び、エンタメや商業が街の価値をさらに上げるはず。売る理由はまったくありません」  明晰な頭脳を活用して資産を構築する李氏だが、実は今でも自身は家賃6万円、築50年の木造アパートに暮らしている。 「お金への執着はないんです。将来は投資家としてより事業家として大成したい。テクノロジーと不動産の知識がある僕にしかできないことで、不動産業界を変えていきたいですね」 【不動産投資家・李 天琦氏】 大学時代には深層強化学習を用いた自動運転シミュレーション研究に従事。その研究が評価され、’15年にGoogleにて招待講演を行った。 <取材・文/栗林 篤>
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