摘発されるベトナム人技能実習生が働く風俗店。レイシズムとセクシズムが横行する惨状

鶯谷から日暮里方面

Ryuji / PIXTA(ピクスタ)

ベトナム人風俗摘発の裏にある警察の思惑

 11月10日、警視庁は日暮里にある派遣型風俗店(デリヘル)を摘発した。報道によれば、技能実習ビザで入国したベトナム国籍の女性を働かせていたことが理由だという。  裏風俗事情に詳しい風俗コンサルタントのP氏は語る。 「日暮里や鶯谷は、ベトナム人だけじゃなく、日本人・韓国人・タイ人・中国人などを雇っている『デリヘル』が集中しているエリアです。もちろん、ヘルスサービスのみの店もありますが、外国人が働く店の大半は俗にいう『基盤店』、本番行為前提の店です」  実際、2019年にも日暮里と蒲田に店を構えるデリヘル「D」が摘発されている。ではなぜ今回、ベトナム人が働いている店が摘発の対象になったのだろうか? 「ここ最近の報道を見ていると、ベトナム人による豚や農産物の窃盗などが盛んに報じられているように、警察が特定外国人をターゲットに『一掃キャンペーン』を打っているんじゃないでしょうか。日暮里の店も、わざわざテレビ局も引き連れて摘発しているわけですし」

各地で増えつつあるベトナム人雇用の店

 実を言うと、日暮里に限らず、コロナ禍においてベトナム人女性を雇う風俗店が増えているという。 「ここ数年、中国の経済成長などもあって、いわゆる『中国エステ』と呼ばれる脱法マッサージ店は雇える女のコが急速に減少、店側も入管法違反となる不法就労助長をすると経営する中国人女性も、日本人と結婚していても強制送還になるため、そのリスクを負うのを嫌い、永住資格ある既婚女性を雇うケースが増えていました。そのため、客離れを招き一時期の勢いがなくなっていました。  しかし、昨年くらいからビザなし短期滞在で来日するタイ人の若いコを斡旋するブローカーが増え、脱法マッサージ店の中でも本番ありの完全な『違法』店で働くタイ人女性が急速に増えていました。  その流れで徐々に増えていたのが、脱走した技能実習生のベトナム人女性を狙うルートでした」  技能実習生はすでに多くの報道がなされているように、来日時には多額の借金を背負ってくる上に、劣悪な環境で働かされたり、いじめなどの被害に遭う人も少なくない。そのため、以前から実習先からの脱走が問題となっていた。 「ブローカーはそこに目をつけたわけです。FacebookやLINE、Wechatなどでクローズドなグループを作って求人情報がやり取りされていまたようです。大半が中国エステ店やデリヘルを経営している日本人や中国人経営者の店で雇われます。タイ人よりも見た目が日本人に近く、若くてスレていない子が多いので、お客側にもウケは良かったようです」
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客のストーカー被害やゴムなし強要被害も
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