セシリア・ヒメネス・スエコといきなり言われても、日本では誰のことかさっぱりわからないかもしれない。
「この人を見よ(Ecce Homo)」と題したキリストを描いたフレスコ画を修復しようと試みて出来上がった顔がキリストとは似ても似つかないものになっていたことで大いに話題になったことがある。それは2012年7月の出来事であった。この作業を行った人の名前だと言えばお分かりになるだろう。
そして再びスペインで、美術品が見るも無惨な姿に変貌する出来事が起きてしまった。場所は、マドリードから250キロ北上したところに位置している人口8万人の都市パレンシア。同地のウニカッハ銀行の建物の正面を飾っている像の女性の顔が修復作業でとんでもない顔になってしまったことがスペインのメディアで話題になり、「この人を見よ(Ecce Homo)」の繰り返しとなったコメントされ、ネットでも「ポテトヘッド」などと揶揄されている。(参照:「
La Vanguardia」)
2012年の「トンデモ修復」の元祖であるセシリア・ヒメネスの場合は。彼女自身の名前だけでなく、彼女が修復したキリスト像の作品が飾られている礼拝堂、そしてそれが所在している人口5000人の町ボルハは一躍世界的に著名な存在へと押し上げてしまった
彼女は今年89歳になる。車いすの生活で老化で記憶力もかなり衰えているという。しかし、彼女は修復作業に取り掛かった頃は達者で年齢よりも若く見られた。どのテレビチャンネルでも彼女のことが盛んに取り上げられていたのを筆者は記憶している。
昨年5月に掲載された『magazinedigital.com』によると、2012年から彼女の修復作品を見る為に22万人が訪れたという。世界で一番熱狂者が多いのは米国と日本だという。著名になる前までは訪れる人は年間でも僅か3000人くらいの訪問者だけだったそうだ。
礼拝堂への入場料は2ユーロで、365日開けてある。記念品の売上は今でも年間で1万2000ユーロ(144万円)。記念品にはワイン、Tシャツ、キーホルダー、おもちゃ、縫いぐるみ、ボールペン、冷蔵庫用マグネット、ブックマーカーなどがあるそうだ。すべての収入の51%は教会、49%はセシリア・ヒメネスとで分けているそうだ。教会の方ではそれを慈善活動に使っているという。また彼女は得る収入をすべて彼女が最初にお世話になった養護施設の方に寄贈しているという。
また2013年からはセシリア・ヒメネス絵画国際コンクールも開かれるようになったのである。