なぜ、在宅勤務で「部下の上司離れ」加速してしまうのか? 勘違い上司のリモートだめ指導

非対面でも効果的な質問の仕方とは

 実は逆なのだ。対面でコミュニケーションがとれないぶん、指示・命令だけではメンバーを納得させることができない。リーダーから見れば、指示・命令をしたからメンバーは従うべきだ、行動しているはずだと思っても、非対面の状況はその確度が低下するのが普通だ。    だとすれば、指示・命令に固執することをやめて、真逆のリーダーシップを発揮すればよい。例えば、方針を説明したあとに、「気になる点があるか」と異論や懸念を「洗い上げる質問」、「洗い上げた質問のなかでもっとも深刻なのはどれか」と「掘り下げる質問」、もっとも深刻な異論や懸念に対して、「仮に○○の状態になれば、実施できそうか」と「示唆を繰り出して合意形成する質問」が有効だ。    筆者はなにも、指示・命令によるトップダウンのマネジメントを一切行うなと言っているのではない。トップダウンの効き目がなさそうだと思ったら、質問によるボトムアップの巻き込み型のリーダーシップを試してみることをお勧めする。部下の反応が明らかに異なることを実感するに違いない。

リーダーシップは二刀流で

   質問:質問による合意形成手法はトップダウン型リーダーには合わないのか?  日頃からトップダウンで物事を決めてきました。質問による合意形成はトップダウン型のリーダーには合わないと思うのですが、いかがでしょうか?    回答:トップダウン型と巻き込み型を併用すると効果が高まる  実は、これまでトップダウンのリーダーシップを発揮してきたリーダーが、質問による合意形成手法を用いはじめると、「初めて異論や懸念を聞いてくれた」「最も深刻な問題は何かと聞いてくれた」「この前提だったら賛成かと、一方的な命令をするのではなく示唆してくれた」「こうしろとまとめの命令をするのではなく、これでよいかとまとめの質問をしてくれた」というように、質問を繰り出してくれたということだけで合意形成の効果が高まるのです。  繰り返しますが、トップダウン型のリーダーシップを否定しているわけではありません。トップダウン型のリーダーシップと、質問による合意形成による巻き込み型のリーダーシップ両方を駆使するリーダーシップほど強いものはないということを申し上げたいのです。 【山口博[連載コラム・分解スキル・反復演習が人生を変える]第215回】 <取材・文/山口博>
(やまぐち・ひろし) モチベーションファクター株式会社代表取締役。国内外企業の人材開発・人事部長歴任後、PwC/KPMGコンサルティング各ディレクターを経て、現職。近著に『チームを動かすファシリテーションのドリル』(扶桑社新書)、『クライアントを惹き付けるモチベーションファクター・トレーニング』(きんざい)、『99%の人が気づいていないビジネス力アップの基本100』(講談社+α新書)、『ビジネススキル急上昇日めくりドリル』(扶桑社)がある
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