カジノ誘致や万博開催のためには、潤沢な大阪市の財源“カツアゲ”が必要!?
「都構想(大阪市廃止)は大阪府による大阪市の財源2000億円のカツアゲだ」と、都構想反対を訴えた山本太郎・れいわ新選組代表
しかし維新には都合がよくても、住民投票でせっかく表明された反対派の民意を切り捨てることにもなる。
「大阪市廃止(特別区への移行)で府と市の職員の負担が増える。今は都構想よりもコロナ対策を優先すべき」というのも反対理由の一つであったためだ。
住民投票直前のゲリラ街宣で都構想反対を呼び掛けていた山本太郎・れいわ新選組代表は、
「(都構想は)大阪府による大阪市への2000億円のカツアゲ」と財源移譲の弊害を訴えていた。維新はどうしても大阪市の財源がほしいようなのだ。
都構想は葬り去られても、二重行政解消の掛け声とともにゾンビのような“カツアゲ条例案”が再登場してきている。このままでは、コロナ第三波が襲い掛かる中、貴重な行政資源(人と金)が投じられてしまうことになる。
大阪万博とカジノ予定である大阪湾の人工島「夢洲」には現在、車やバスでしか行くことができず、市中心部からの地下鉄建設が必要
維新が手を変え品を変え、大阪市の財源に手を突っ込もうとしているのはなぜか。大阪市政ウォッチャーは、カジノ誘致や大阪万博との関連性を次のように指摘する。
「コロナ禍で大阪進出を表明している米国カジノ業者『MGM』は約1万8000人をリストラするなど経営難に陥ってしまい、V字回復の見通しも立っていません。府市の誘致計画では、予定地の『夢洲』(大阪湾の人工島)への地下鉄建設費200億円をカジノ業者に肩代わりしてもらう前提となっていましたが、実現しない可能性は十分にある。
大阪万博もコロナ不況で、民間からの寄付金が激減するのは確実。都構想と並ぶ維新の目玉政策である
カジノ誘致や万博開催には、潤沢な大阪市の財源を“カツアゲ”することが不可欠な状況になっているのです」
維新の党利党略の色合いが強いようにみえる「広域行政一元化」の条例案に対して、地域住民はどう反応するのだろうか。今後も、民意を都合よく解釈しながら党勢回復を目指す維新のツートップから目が離せない。
<文・写真/横田一>