コロナ禍のディズニーリゾートで起きていること。パレードの出演者たちが涙の訴え。

コロナ禍で休園を余儀なくされた東京ディズニーランド。

コロナ禍で休園を余儀なくされた東京ディズニーランド。(時事通信社)

コロナ禍のディズニーリゾート

 ディズニーランドといえば誰もが憧れる「夢の国」ですが、残念ながら労働問題と無縁ではいられません。2017年には、“着ぐるみ”を着てショーやパレードに出演していた女性が、左腕の激痛を訴えて労災認定されています。  また、コロナウイルスの感染拡大を受け、同園は今年2月末から約4か月間休園していました。そのあおりを受けて、同園を運営するオリエンタルランドの社員約4000人は、冬のボーナスを7割も削減されています。  さらに、コロナ禍でショーやパレードの多くが休止になっていることから、出演者らは苦しい選択を迫られています。ショーの出演者として働く岸本さやかさん(仮名)と岸本さんが相談した「なのはなユニオン」の鴨桃代委員長に話を聞きました。

退職を迫られる出演者

――4ヶ月の休園中、キャストの方の雇用はどうなっていたんですか。 岸本:仕事はなく、給与補償は平均賃金の6割だと言われました。ショーに出演するキャストはほぼ全員が、時給で働いていて、6割だと月収が5〜6万円にしかならないんですよ。なので、ユニオンと一緒に会社に対して2度の要請行動を行った結果、8割の補償になりました。それでも月収は10万円にもなりません。 ――かなり生活は苦しくなりますね。 岸本:会社から「絶対にコロナに感染しないように」「いつでも働けるようにしておいて」という連絡が来ていたので、他の仕事をしたくてもできませんでした。キャストの中には、どうしても生活費が足りず、日払いのアルバイトで補填している人もいたようです。 ――再開後、キャストに対する「退職強要」ともとれる要請があったとのことですが。 岸本:会社からキャストに対して、3つの選択肢が提示されました。一つ目は、9月末で退職すれば80万円の支援金がもらえるというもの。二つ目は、3月31日の契約終了まで続けられるけれど、ダンサーは月に40時間までしか働けず、その後の契約は更新してもらえず、支援金もナシ。キャラクター出演者は月50~100時間までしか働けず、契約を更新してもらえるかどうかは不明で、支援金もナシ。そしてもう一つは、いったん退職して、新たに「一般」キャストとして採用されることになるので、時給930円の試用期間からスタートとなります。 ――一般のキャストというのはどういった仕事をするのでしょうか? 鴨:エンターテイメントの部署ではなく、ガイドやアトラクションの説明をしたり、駐車場の整理をしたり、ゲストと相対する仕事です。オリエンタルランドは業務によって契約内容を変えているので、一度退職してから、再雇用という形になるようです。 ――ダンサーやキャラクター出演者の皆さんはこうした選択肢を突き付けられて、どのように感じていますか? 岸本:ここで働いている人には、「ディズニーの出演者」になるために努力を続け、オーディションを突破してきた人たちも少なくありません。私たちにとって、提示された選択肢はいずれも「ディズニーランドのショーに出演する」という夢を絶たれてしまうことになります。
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キャストたちが声を上げられない理由とは
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