最高益を更新し中長期で右肩上がりを続ける企業の共通点
2015.02.04
買ったら下がった……株式投資にはそんなエピソードがつきものだが、実は4~5年タームで上昇し続ける銘柄が数多くある。そんな企業の共通点を探った。
⇒【前編】5年上昇し続けている[超安定銘柄]の探し方
明治HDも食品セクターの代表的な躍進株(安値3030円→高値1万2170円)。’09年の「経営統合」を機に、業績や株価のトレンドが一変した銘柄である。
「明治HDは、明治乳業と明治製菓が’09年に合流して発足。乳業と製菓の2社で、スーパー・コンビニなど納入先の大部分が共通していたこともあり、物流など間接部門の効率アップはほかの合併会社よりも容易だった利点があります。効率化に満足せず、医薬品など多角化事業の育成や海外販売ルートの開拓も加速させたのが成功しました。量も質も追う路線を鮮明にして、内外の機関投資家に高く評価された結果が株価上昇となって実を結んだといえます。ブリヂストンもM&Aを駆使して成長を続けています(安値1396円→高値4705円)。米国でファイヤストンやタイヤ再生大手のバンダグといった有力企業を買収し、今では仏ミシュランを引き離して世界トップを独走しています」(株式ジャーナリストの大神田貴文氏)
絶好調でいえば、「スバル」の富士重工業も外せない(安値393円→高値4617円)。
「走りの安定した4輪駆動車が北米で売れまくり、今期の販売台数は過去最高。北米工場は慢性的なフル稼働状態で、2年後には北米で15万台分の生産能力アップを予定していますが、それでも納車待ちは簡単に解消しなさそうです。富士重工は『走りが評価されてクルマが売れる』という自動車メーカーにとって理想的な経営環境にあり、株価の高値追いは当然の動きといえる。投資を考えるなら円安や金融緩和といった一時的な追い風がやんでも自力で成長を続けられる企業がいいでしょう」
オンリーワンビジネスに海外積極展開、M&A・提携、本業に集中と、最高益を更新し中長期で右肩上がりを続ける企業の共通点を見抜き、大きな利鞘を狙いたい。
<ハイデイ日高/オンリーワン>
昼間は格安ラーメン店だが、夜はラーメンも出す中華居酒屋になる新規業態を開拓。食材価格高騰を高単価商品のテコ入れと夜間帯の集客アップで克服した。店舗数も増加中
<アシックス/海外積極展開>
スポーツウェアの世界的大手。有力アスリートとの契約で知名度とブランド力アップを図るとともに、海外生産と海外強化を着実に進めてきた。’14年12月に上場来高値を更新
<クスリのアオキ/M&A・提携>
北陸エリア最大のドラッグストア。イオン傘下だが、同業で北海道最大のツルハとも親密。株主資本利益率(ROE)20%台と、東証全体で見てもトップクラスの効率経営企業
<キユーピー/本業に集中>
看板商品であるマヨネーズとドレッシングの販売を伸ばしている。神戸市で新工場建設を予定しているほか、インドネシアでもマヨネーズを販売するなど本業重視路線を貫く
※チャートはすべて2010年1月21日から2015年1月20日までの週足。「安値」「高値」はその期間内の最安値と最高値のこと
【大神田貴文氏】
株式ジャーナリスト。国内大手証券会社などを経て現職。マーケットに精通しているだけでなく、個別企業の裏情報も知る事情通。金融、経済政策にも強い
取材・文・撮影/長期上昇銘柄取材班 チャート協力/楽天証券
M&Aや提携、本業に集中で大躍進
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