iPhone12発売の裏で多発する「オークション詐欺」。泣き寝入りせざるを得なかった被害者の声

iPhone 12

5G対応のiPhone12(Appleの公式サイトより)

 いよいよ発売されたiPhone12。5Gへの対応やユーザーの声に応えた「iPhone12 mini」、高機能な「iPhone12 Pro Max」など早くも評判は上々だが、その裏で欧米では新手の詐欺も発生している。

銀行から「送金準備完了」のメールが

 ターゲットとなっているのは、新型iPhoneの発売に合わせて、すでに持っている旧型を転売しようとした人たちだ。実際に被害に遭った栗山正和さん(仮名・30歳・ポーランド在住)に話を聞いた。 「12に買い換える資金にしようと、それまで使っていた8をオークションサイトに出品したんです。すると、ものの5分で落札されました。今考えると、その時点で怪しかったのですが、この時期に旧型機種を転売する人は多いでしょうから、たまたまそれを探していた人に当たったのかなと……」  数日後、落札者からは振込の準備が整ったので、旧型機種の発送とともに送金をするとの通知が届いた。 「念のためGoogleマップで落札者の住所も検索したのですが、普通の一軒家で詐欺グループなどが使っているようには見えませんでした。また、落札者が住んでいるイギリスの銀行から『振込の手続きが完了しました』とメールもきたので、郵便局から発送をしたのですが、そこから返事が途絶えたんです」

国をまたいでいることで泣き寝入り

銀行からの偽造メール

栗山さん(仮名)に届いたメール。銀行のロゴなども載っており、たしかに見ただけではニセモノか判断はしづらい

 実は栗山さんに届いたという銀行からのメールは真っ赤なニセモノ。メールには銀行のロゴなども載っておりパッと見にはわからないが、返事が途絶えたことでネットを検索してみると、同様の手口で騙された人が大勢いたという。 「大慌てで郵便局に問い合わせましたが、すでに持ち込んだ局からは発送済み……。イギリスへの航空便は翌日中なら間に合うかもと言われましたが、局員が面倒臭かったのか、次の日にあらためて電話しても『もうイギリス側の管轄になってしまったので調べようがない』と断られてしまいました」  残る手段は栗山さんが暮らすポーランド、またはイギリスの警察への問い合わせだが、国をまたいだ詐欺であることや被害金額が8万円程度だったことから、泣き寝入りしてしまったという。
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詳細が記載されたメールが、かえって油断に繋がることに
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