スペイン、ついに2度目の非常事態宣言。スペイン在住記者が感じたこと

EUの存在に救われたスペインやイタリア

 発令される1週間くらい前からメディアでは非常事態宣言が発令されるという噂が高まっていた。ということで、25日の日曜午前中にサンチェス首相は緊急閣僚会議を招集。そして昼過ぎに同日夜からその発令の実施を発表したのである。  イタリアのコンテ首相は飲食店の営業を午後6時までとした。それを11月24日まで継続させるとした。また、14歳以上の生徒の75%はオンラインによる授業になるとされている。  スペインは今後のコロナの感染状況によっては学校がまた休校になるかもしれない。今のところ学校は平常通りで授業が進められている。  スペインにしてもイタリアにしてもクリスマスシーズンは例年だと売上が伸びる時期である。それも視野に入れてスペインとイタリアの両政府は今を置いて規制する時期はないと見ているようだが、それでクリスマスシーズンまでに感染を鎮めるにはあまりにも期間が短すぎるというのが大方の意見だ。  スペイン経済は非常に厳しい状況に置かれている。今年のGDPは予測ではマイナス11%から18%までの間を各組織が予測している。スペインにせよイタリアにせよ、EUという連合体が無ければ財政的に破綻していた可能性は十分にある。

コロナが変えたスペインの生活

 前回の封鎖と異なり、今回は外出が可能なので従来通りの生活になると思う。しかし、他の自治州の中には住んでいる地区以外への外出が通勤以外は禁止されている自治州もあり、州によって生活への影響はまちまちだと思われる。  筆者が住むバレンシア州は、夜12時から翌朝6時まで外出が禁止されているので、私は早朝の歩行とストレッチ体操などはまた拙宅の廊下の往復と階段の上り下りを再開する予定だ。というのも、日課の散歩は、従来ならば当町のグランビアで朝5時頃からやっていたのだが、それが5時ではできなくなるからである。見つかって治安警察が罰金を科す場合もあるので、さすがにやるわけにいかない。  筆者の妻はバレンシア市内にはもう行きたがらない。人が多いからだそうである。感染者が多くなっているので、以前以上に人とすれ違う時もできるだけ間隔を置こうという気持ちに自然となってきているのだ。  40数年スペインで生活していてマスクをするのは初めてのことだったが、今はもう慣れつつある。スペイン人もみんなマスクをしている。ヨーロッパでマスクの使用度が一番高いのはスペインだいう話もあるほどだ。  ただ、バルなどで仲間が集まって談笑している時はマスクをしていない者が結構いる。スペイン人はバルで仲間と談笑することをこよなく愛する人が多いので、マスク着用率の割に感染者が多いのはここに原因があるのかもしれない。  スペイン人である私の妻も、いまはマスクを5-6枚持つようになった。その内の2-3枚はファッショナブルなものなのがこの国の人らしい。  マスクにもファッションが生まれてきている。二人の孫もファッショナブルなマスクをして通学するようになった。  コロナはスペイン人の生活を大きく変えた。経済の打撃は深刻だし、コロナ禍もいまだ終わりは見えない。この先どうなるかわからないが、筆者は見続けていくつもりだ。 <文/白石和幸>
しらいしかずゆき●スペイン在住の貿易コンサルタント。1973年にスペイン・バレンシアに留学以来、長くスペインで会社経営から現在は貿易コンサルタントに転身
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