誰でも芸術家に投資できる!? 急成長するアート投資最前線

アート投資

直感的なユーザーインターフェースでアートを株式のように取引できる

共同保有で実現できる資産としてのアート作品

 代表の長崎幹広氏は、サービス立ち上げの動機をこう語る。 「日本には感度の高い潜在的アートファンが多いにもかかわらず、市場規模は3000億円ほど。これはアメリカの13分の1、イギリスと比べても7分の1しかありません。でも、これは裏を返せばアートの資産性が認められたら、一気に伸びるポテンシャルを秘めていると私は考えました。そして考案したのが、『100円からアート作品を購入できる』プラットフォームだったんです。これは一つの作品の権利を分割し、みんなで共同保有できる仕組みであることが最大の特徴。もちろん、購入した権利は売ることもできます。作品の保管はもちろんですが、分割された権利の売買をデジタル上でなめらかに実現することで、アートへの投資をより身近なものにするのが狙いです」  ストレイムが提供するサービスは、一口馬主と非常に似ている。一頭まるごと一人で買うのはハードルが高いが、複数人での共同購入ならその障壁はグッと下がるというわけだ。同サービスの場合、作品が公開されるとスタート時の価格はすべて100円から。人気のある作品には当然買い注文が殺到し、価格は瞬く間に上昇する。 「例えば河村康輔さんの作品は昨年末月に100円からオーナー権を公開。現在480円で取引されています。価格は板取引によって決定し、まだ上がると思えば持ち続ければいいし、利益確定して別の作品を購入するのもアリ。プラットフォームにはSNS的な機能も備えており、『目利きがどんな作品を買っているか』を参考にしながら投資を行うのも面白いと思います」 「作品価格」は、株式の時価総額と同義で、「公開時の作品価格」はオークションにおける最初の販売価格。共同オーナー権/総数は作品を分割した枠の数を示す数字で、株式でいえば総発行株数を表す。オーナー権/単価とは、作品の現在価格を測る指標で、直近に約定した価格が表示される。

クリエイターとコレクターの懸け橋に

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ストレイムの取引画面。作品は公開時に想定価格が設定され、それに応じた枠数が決定。1口=100円で販売開始される

 共同購入とはいえ、保有者のコレクター心をくすぐるギミックもふんだんに施されている。 「権利保有者には証明書を発行しますし、作品を美術館に貸し出したり、コレクションを実際に見られるように展覧会を企画することも。投資対象としてトレードすることはもちろんですが、アートを持つ悦びを味わえるように趣向を凝らしています。ピンとくる作品を見かけたら、ぜひ買ってみてほしい」  クリエイターとコレクターの懸け橋として、これまでにない機能を実装したストレイム。いまのうちから青田買い、は十分アリかもしれない。 【長崎幹広氏・STRAYM代表】 アサツーディケイを経て、クリエイティブ・エージェンシー「風とバラッド」に参画。広告業界におけるAI活用事業開発にも携わる。ストレイム代表 【河内タカ氏・編集者】 ’80年代よりニューヨークを拠点に多数の展覧会のキュレーション、写真集の編集を手がける。著書に『アートの入り口』『芸術家たち』などのシリーズがある。 <取材・文/仲田舞衣 櫻井一樹>
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