スペインが感染者数で100万人を超えた要因には以下のようなことが挙げられる。
感染を防ぐためには、感染者を監視し追跡するスタッフが十分にいることが必要であるが、それが3月からの「宿題」となっているままなのだ。それを満たしている自治州は皆無である。
スペインでは4000人を基準に一人の監視・追跡員が必要だとして8500人の監視・追跡員が必要とされているが、現在まで5000人しかいない。
この面で最も優秀な自治州はカスティーリャ・マンチャ州とバレンシア州である。前者は一人の監視・追跡員が4700人、後者は4900人を担当する比率になっている。ところが、マドリード州は3万6000人、カタルーニャは3万1000人を一人の監視員が対象にせねばならないほど監視員が足りないということだ。これが3月から分かっているのに、両自治州ではそれを改善させていないということになる。〈参照:「
El Pais〉
また、スペインでの感染源の6割が家族や身内同士の間から発生しているとされている。
スペイン人は抱擁したり、キッスしたりするのが日常の振る舞いの中で良くあることだ。また、友人同士の集まりも感染しやすい。バルやレストランで声高に喋り、しかもマスクをしない。スペイン人のひとりひとりが感染を拡大させないようにするための自覚が足らないのである。
このような要因がヨーロッパで他国に先駆けて感染者数で100万人を最初に超えた理由である。
<文/白石和幸>
しらいしかずゆき●スペイン在住の貿易コンサルタント。1973年にスペイン・バレンシアに留学以来、長くスペインで会社経営から現在は貿易コンサルタントに転身