一方、ローマ教皇側もアムロの要求を論外だとはねのけた。ヨハネ・パウロ2世が1992年そしてベネディクト16世が2007年にすでに謝罪しており、またフランシスコ教皇も2015年にボリビア訪問の際に征服で犯した侵害について謝罪している。そのため、メキシコでカトリック教の布教活動をしている司教の間でもそれは受け入れらないことだと既に表明していた。ということで、フランシスコ教皇もアムロ夫人にはその件はすでに解決済みだと伝えたという。〈参照:「
La Politica online」〉
メキシコのカトリック教会では、バチカンの枢機卿のピエトロ・パロリン国務長官がバチカンのこの姿勢を伝えるべくアムロに書簡を送ることになるであろうと推察しているという。
このようなバチカンを苛立させる要求を昨年と今年と二度しておきながら、アムロは夫人のバチカン訪問を利用して来年の記念なる年にバチカンが保存しているメキシコの南西部でスペイン人による征服の前にメキシコの先住民族によるシカの皮に絵文字や図像が描かれているボルジア絵文書やテノチティトランの地図などを拝借してメキシコで1年間公開したいということを申請したそうだ。
同様の申請はフランスにはすでに要請済みで、これからアムロ夫人はドイツとオーストリアを訪問してメキシコの歴史に関係した考古学品などに同様の申請をしていくらしい。
<文/白石和幸>
しらいしかずゆき●スペイン在住の貿易コンサルタント。1973年にスペイン・バレンシアに留学以来、長くスペインで会社経営から現在は貿易コンサルタントに転身