「微表情の観察は、洞察を得る窓口」表情研究の大家マツモト博士が語る、微表情分析の魅力と活用
こんにちは。微表情研究家の清水建二です。今回は、前回に引き続き、表情分析の大家であるディビッド・マツモト(David Matsumoto)博士にインタビューさせて頂いた様子をレポートします。
ディビッド・マツモト博士は、サンフランシスコ州立大学の心理学教授であり、Humintellの代表取締役でもあります。表情研究を始めとした非言語研究で世界的に最も有名で多産の研究者です。研究から得られた科学知見を実世界に応用し、法の執行官、ビジネスマン、マーケター、マネージャー含め、あらゆる層の方々に使える科学を教授されています。
前回、表情を観察することの優位性、万国共通の表情、表情の万国共通説を支持しない研究の方法論上の問題、日本人の表情の特徴などについてお話を伺いました。今回は、微表情・微細表情について伺ったことを紹介します。
Q.微表情と微細表情について教えて下さい。
研究するなら、微表情と微細表情の定義をつけなくてはいけません。普通の方々の中でも研究者の中でも両者が曖昧なことが多いと思います。私の定義としては、微表情とは0.5秒以下の表情のことです。微細表情とは、顔面筋の動きの強度が弱い、あるいは顔に部分的に表れる表情のことです。学習する順番としては、微表情から学ぶと微細表情が見えてくるので、この順がよいでしょう。なお、感情を抑制せず、普通に顔の生じる表情は、0.5秒から4、5秒くらい続きます。
Q.微表情の観察はどんな場面で活かされていますか?
人と話をする、あるいは人を観察して、その人をよりよく知りたい場面、その人が話している言葉以上にその人を理解したい場面において、微表情の観察は有効だと思います。それは家庭でも、誰と話していても、ビジネス交渉でも、政府に関係する仕事でも、上司・部下間でも、色々な場面で使えると思います。そして、微表情を観察し、それをとらえたうえで、どうするか。それは私たちの役割、警察なら警察の使い方、営業なら営業の使い方、交渉なら交渉での使い方と役割に応じて異なりますが、微表情を観察するスキルは同じです。私の会社Humintellでは、警察や政府関連のオファーが多いです。
〈※筆者注:なお、博士の会社では、政府の仕事を多くしている関係で、マッチングアプリ、刑事事件弁護士、ポーカー関連の依頼は受けないようにしていると仰っていました。他の会社が微表情を利用してこうした仕事をすることは自由だとも仰っていました。アメリカでは、相手の微表情やボディーランゲージを見抜き、ポーカーで勝つ戦略といったセミナーや書籍を多々目にします。私はギャンブルをやらないので詳しくありませんが、もの凄く大きなマーケットのようです〉
「微表情」と「微細表情」。その違いとは?
微表情は、家庭生活、交渉・商談、取り調べなど相手をより深く理解したいときに役立つ
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