サッカー長友選手が呼びかけた「ひとり親をみんなで支えよう」。ライター講座が2日で満席に

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「ひとり親向けライター育成講座」が2日で満席に

 約半数が貧困と言われるひとり親世帯。新型コロナウイルスによる収入減や失業によって、生活がより苦しくなってしまうケースがある。  ひとり親の就業を支援する公的なサポートはあるものの、利用率は1割ほどと低い。様々な給付金が用意されているが、現物支給に止まり、継続した就業機会創出に寄与しているとは言いがたい。  そんな中、オンライン・在宅で学びながら、ひとり親がスキルアップできる機会を設ける取り組みが、今年9月15日~10月14日まで行われた。  プロジェクト名は、「ひとり親向けライター育成プログラム」。オンラインで1ヶ月の講座を受講し、WEBライターとして仕事ができるようになってもらうことが目的だ。18歳未満の児童を養育しているひとり親やひとり親に準ずると運営側が判断した人が受講できる。  同プログラムは認定NPO法人フローレンスとクラウドソーシング大手のクラウドワークスが協働で進める。クラウドワークスがカリキュラムの進行を担当し、フローレンスが企画・事務局を担う。  受講人数は60名限定だが、募集開始後2日ほどで満席となる人気ぶりだった。

「親子で1日1食」厳しい経済状態

 「ひとり親向けライター育成プログラム」は、自らもひとり親世帯で育ったサッカー日本代表の長友佑都選手が始めたクラウドファンディング企画「#ひとり親をみんなで支えよう」の一環として実施。クラウドファンディングで集まったお金を原資としている。  ここでひとり親が置かれる状況を見てみよう。2019年度の「国民生活基礎調査」によると、ひとり親世帯の平均年収は約231万円。これは子育て中の一般世帯(約686万円)の約3分の1の額に当たる。ひとり親がいかに厳しい経済状態で暮らしているかがうかがえる。  こうした不安定な経済基盤を新型コロナが襲った。認定NPO法人しんぐるまざあず・ふぉーらむが今年6月に行った全国のひとり親家庭を対象にしたアンケートによると、コロナ不況の影響で収入がゼロになった人は15%いた。回答者からは、「親子で1日一食」「子どもがおなかが減らなくなった」「古着で布おむつをつくっている」といった回答が寄せられた。  フローレンスが今年5月に発表した調査でも、約8割が「新型コロナによって支出が増えた」と回答している。支出増の幅で最も多いのは「20~40%」だが、これは月20万円で暮らしている人の場合、支出が4~8万円増えていることになる。  フローレンスの担当者・岩井純一さんは同プロジェクトを打ち出した理由について、「コロナ不況は長期化することが予想されます。ひとり親への支援として現物支給は大切ですが、それだけではなく自分の力で仕事と収入を得られるようなスキルアップのサポートも行いたいと思いました」と話す。
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学習だけでなく、ひとり親としての悩み共有にも
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